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高校野球で松山商業が27年ぶりに優勝しました。最近は初戦敗退が続き、期待度が低かっただけに、関係者の興奮度もすさまじいようです。商店街は割引セールが始まりました。私も、優勝を知った瞬間、医療費も2割引にしようかと考えたものです。今の医療制度は、談合によって医療費を統一価格にしているようなもので、市場経済の原理に反するような気がします。今からは健康保険制度もどんどん変化してゆきますので、ゆくゆくは自由診療の部分が増え、値引き合戦がはじまるのかもしれません。 高校野球が終わると秋も足早にやってきます。朝夕の気温の変化が大きく、のどをいためる人も増えてきます。先日ものどの異和感を訴える59歳の女性が来院されました。 「鼻の奥とのどの上がおかしいのです。耳も詰まった感じがします。もう2カ月も」 このように訴える人は必ず、自分はガンではないかと疑っています。鼻の中からのどの下までファイバースコープで入念に観察し、モニターを通して見てもらい、 「単なる炎症ですよ」 と説明しただけで、たいていの人はほっとして症状が改善します。 しかし、この婦人のように炎症の強い人は、十分な処置が必要です。のど(上咽頭から中咽頭)の処置を行ったあと耳に耳管通気療法を施しました。また、漢方薬の半夏厚朴湯を処方しました。治療を2週間つづけてやっと異和感が取れてきましたが、今度は「口の中が苦くなった」とのことで、半夏厚朴湯に代えて柴朴湯を処方しました。一週間後にはこの症状も取れ、ほとんど治ってしまいました。 のどの炎症はこのように、治るまでに時間のかかることが多いようです。鼻の奥とのどの上は、鼻を通して入ってきた細菌やウイルスのたまり場となっていますので、治りにくく、また治るまで時間がかかります。慌てず、じっくり治療するのがコツです。 半夏厚朴湯は、のどに何かつまっている感じで、気がふさがっている時に有効な薬です。教科書的には、気分がふさいで、咽喉、食道部に異和感があり、ときに動悸、めまい、吐気などを伴うときに用います。のどの炎症が強いと、これに小柴胡湯を合わせた柴朴湯がよく効きます。 秋風が吹くと、夏バテで休んでいたウイルスや細菌が元気をとり戻して、鼻からのどを襲います。のどがおかしくなったら、耳鼻科で鼻を洗ってもらったり、のどに薬を塗ってもらって下さい。この基本的処置だけで、かなり症状は改善してゆきます。 (1996年9月)
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