くが耳鼻咽喉科(愛媛県松山市北条)

処置室「治療玉手箱 私の創意と工夫」

■戻る

耳管開放症の症例2(体重減少による開放症)

(2007年11月1日掲載)

60才  男性    「右耳が変です」と言ってこられました。

(症状) 右耳がツーンとして、耳に響いてきます。自分の声が反響し、呼吸音が聞こえて不愉快になります。横になるとこの症状は軽くなります。
(病歴) 10ヶ月15Kgの体重減少。減量の原因は不明。
(検査) 耳管機能検査右耳が開放しています。
(治療) 右耳に馬の油を噴霧。麦門冬湯を処方。
(経過) 3日後 また、開放症状がでたため馬の油を噴霧。
  14日後 ほとんど症状は取れました。不愉快さは消えていました。
 耳管機能検査正常になっています。体重は変わっていません。
 「もう良くなった。でも、心配なので2週間のみ薬をください」
 と、本人は語りました。
(考察) 体重減少による耳管開放症は体重が元に戻らないと治らないといわれていますが、この症例では体重は増加しなくても、耳管を潤わすことで治すことができました
耳管を潤わすことで、症状が改善したということは、耳管開放症耳管粘膜層の脱落、乾燥、萎縮耳管の開放が生じていることを示唆しています。
耳管開放症は様々な原因が唱えられていて、治療法も色々考えられています。
私の治療は耳管粘膜滋潤法です。
高齢、ストレスから発生する耳管乾燥症(私の命名)に有効ですが、体重減少を契機とした耳管開放症にも効果がありました。

ページトップへ