週刊 談話室  
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2003年12月29日号(2003年年末、2004年新年特集号)

「耳鼻咽喉科治療の未来  期待と不安」
 この10数年の間に小さい診療所で診察しながら考えたことが色々あります。今回は、新年特集としてこのことを書きます。
 最近、耳鼻科の病院では、手術症例は減っていないでしょうか。私の医院では、勤務医の頃によく見られた手術を勧める症例がめっきり少なくなりました。もちろん悪性腫瘍や良性腫瘍はほとんど変わっていませんが、慢性中耳炎、真珠腫性中耳炎、慢性副鼻腔炎などは手術を依頼する症例は年に数例になりました。今後は、手術を勧める症例が無くなり、耳や鼻の手術が無くなってしまうのかもしれません
 これらの病気は、手術しなくても治るようになったような気がするのです。診療器機や薬物の進歩と改善のおかげですが、治療の進歩も見逃せません。
 小学校に上がる年代の子供の耳や鼻を治療して来ました。その子供たちが大人になっています。小さい頃から治療してきたこの人達は、中耳炎も副鼻腔炎も引きずっていないことに、最近ふと気づきました。
 急性中耳炎は、早めにきちんと治すことを心がけています。滲出液が残ったら早めに換気チューブを入れて治します。
 難治性中耳炎も年に数人いますが、これらもなんとか治せるようになりました。耐性菌が原因といわれているこの難治性中耳炎は、実は免疫力の弱いことが原因なのではないかと考えを変え、免疫力を高める治療を始めました。これで治せるようになりました。
 真珠腫性中耳炎も初期のものであれば、上鼓室ポケットなどの肉芽組織をきれいに取り去って行けば、進行を止めることができます
 単純な鼓膜穿孔は、急性でも慢性でも、人工皮膚の応用で鼓膜を閉じさすことが出きるようになりました。外来で閉鎖することができるようになったので、手術はほとんど勧めていません。
 副鼻腔炎薬物の利用と鼻洗浄、副鼻腔洗浄でほとんど数週間以内に治せるようになっています。手術を依頼する症例は、長い間放置している人に限定されてきました。
 少子化もありますが、治療法の進歩で手術を勧める症例が少なくなりました。この傾向は、どこの診療所でも大なり小なり同じと思います。手術を経験する機会が減ることは、耳鼻科医としての腕が落ちることを意味します。将来が不安になります。
 ますます医療技術の進歩が期待されますが、これは手術技術の後退となる不安を伴います

くが耳鼻咽喉科外観写真


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