週刊 談話室  
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2003年6月9日号

「今週の談話」
 最近の医療情報は、医療ミスについての報道が目に付きます。
 相手が機械であれば、多少のミスも許されるでしょうが、医療上のミスは決して許されません。情報の少ない時代では、取り上げられなかった問題も、情報があふれる今日では、些細なことも問題化されます。ここに色々と問題点が生じます。
 細心の注意を払い治療をすれば、医療ミスは減ります。しかし、ミスを恐れる余り、意欲的な治療が減って行きます。これでは、なにをやっているのか判りません。積極的な向上心を持ちながら、常にトレーニングを積み上げて行く。この考えを持ちつづければ、恐らく医療ミスを減らし、医療を向上させて行くことも可能でしょう。しかし、それでも難しい問題はあります。
 ある番組では、注射薬の量を間違って10倍処方した医師の話がありました。このような医療ミスに対する病院側の対策として、ミスを繰り返す医師をなんと医療現場から追放することにしたそうです。緊張感を生むことで医療ミスを減らす方法なのでしょう。
 私の経験では、注射薬の処方をするのは医師で、注射薬を注射器に詰めるのは看護婦さんです。注射薬は、おおよそ、大人であれば、1回量は1アンプルに入っています。子供であればその数分の1を使います。従って、処方量が多すぎると、看護婦さんが当然気づきます。10倍も使えば疑問に思うのが普通でしょう。1アンプルのところを10アンプルです!アンプルカットしていておかしいと思わないのでしょうか?分かりません。
 うっかりミスを防ぐには、忙しくても何回もチェックすることでしょう。私の医院では、私がカルテに記載した薬をスタッフがパソコンに入力して、処方箋をつくります。その処方箋をもう1人のスタッフがチェックし、最終的に私が再確認して、患者さんに渡します。
 入念にチェックしても、極めてまれですが、調剤薬局で薬や薬の量を間違われることがあります。もうこうなればお手上げです。完璧は、難しいのです。
 しかし、恐らく、誰も気づいていないでしょうけど、究極の医療ミスは、実際は「ほとんど効きもしない薬」を、製薬会社が「効く」と信じて懸命に宣伝して、それを我々医師がそれに気づかず、平然と使い続けていることもあるということです。これは、誰のミスでもありません。しかし、恐ろしいことに実際あるのです。もちろん、これは膨大な薬のなかのほんの一部ではありますが。
 薬は、製薬会社が努力を重ね、開発されます。その後、実際に効果があるかどうかを、厳密な治験で審査され、やっと販売されます。従って、本来はよく効果があるはずなのですが、中にはなぜか「はずれ」が迷いこんでいるのです。また、私の経験ですが、どうも薬は人を選ぶようなのです。同じ病気でも、Aさんに効果があっても、必ずしもBさんには効かない、と言うことがよくみられます。
 この「医療ミス」に気づくのは、難しいけれども、一番大切なことでもあります。

 庭の片隅に黄色い花をたくさんつけたのは、キンシバイ
 金の糸のようなおしべを持った梅のような花なので、金糸梅と呼ばれます。
 鉢もので買ったものを、花が散ったあとに放って置いていたら、いつのまにか大きくなっていました。
キンシバイ キンシバイ


「今週の病気」
 6月に入り、梅雨が始まる時期になると、急に病気が減ってきます。
 花粉症も、風邪の2次症状も一休みとなります。手足口病、ヘルパンギーナ、水ぼうそうなども散見される程度です。
 農家の方は、農繁期を迎え、この時期は「お休み」する人もでてきます


「今週の患者さん」
 7才の女児。3年前に中耳炎で鼓膜切開をした後で、鼓膜が閉じなくなったと、遠くから来られました。主治医から、鼓膜閉鎖術を奨められているそうです。
 鼓膜は中等度の穴が開いていました。恐らく、鼓膜穿孔の辺縁を何回か刺激しても、閉じなくなったのでしょう。
 切開して鼓膜に穿孔が残りやすい人は、不幸にして確かにいます。自然に閉じないと、そのまま穴が残ります。
 このような症例に、私は人工皮膚を使って修復しています。これは、私が開発、考案した方法です。
 偶然に、張り手やボールが耳に当たり、鼓膜穿孔を生じた人や鼓膜切開後に鼓膜が閉じない人に、この方法で治療していますが、皆治りました。慢性中耳炎で鼓膜に穴が開いている人でも、条件がよければ治ります。
 鼓膜穿孔の新鮮例なら、人工皮膚を張りつければ治せます
 この子供さんは、長い間閉じていないので、1回の治療で治るかどうか分かりませんが、この治療をしました。何回か、繰り返し治療すれば恐らく治ると思いますが、遠方ですので、1回で治らないと、手術を奨める予定です。


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