2004年3月1日・8日合併号
「今週の談話」
オウム真理教を扱ったTV番組「告白」は、久しぶりの力作でした。地下鉄サリン事件で終身刑となった林郁夫の逮捕から自白までを、担当刑事の目を通して描いていました。
オウム真理教の入信者は、いわゆるエリートもたくさんいました。なぜ彼等が入信し、なぜ犯罪に荷担したのかが大いなる疑問であり、これを解き明かして行きます。
林郁夫は、慶応医学部卒業を卒業した腕のいい心臓外科医でした。小学校の先生は、たくさんの教え子の中で一番できのいい子であったと語りました。勤務先の先輩医師は、門前(もんぜん)市(いち)をなすほど外来患者が増え続けたと彼を高く評価していました。神様とまで言われていたそうです。番組は医療技術に秀でていた彼の心の変化をさぐって行きます。
手を尽くしても救えない命に対して、少なからず絶望感を持ち、仏教に救いを求めたのではないか。そうして最後にたどり着いたのが、最終解脱者を名乗り、空中浮遊のパーフォーマンスをしてみせる麻原彰晃だと言うのです。厳しい修行の後に完全に洗脳されて、麻原の言いなりになってしまったと解説していました。
医師として、手を尽くしても治せないこともあります。ここで自分の限界を悟って開き直るか、更に魔術でも使ってでも治したいと悩むかのいずれかです。彼は後者だったのでしょう。神様とまで言われていた腕のいい外科医が、神も仏も必要にしていたのです。多分、世間の評判が高まれば高まるほど、治しきれない病気に相対することが増えて、自分の力の無さを自覚していったのでしょう。ストレスは高まる一方だったのかもしれません。
私は林郁夫の様に優れた医師ではありませんが、自分なりに自分の腕の限界に気付き、光明を求めてきました。私が出会い、未来へと導いてくれたのは東洋医学でした。東洋医学には神秘的な可能性がありました。今まで自分が治せなかった病気をある程度は治せるようになりました。徐々に私の医学的なストレスはなくなりました。しかし、それでも治せない病気はたくさんあります。それらは未来の医学に託しています。
林郁夫も仏教に道を求めず、東洋医学に目覚めたていたなら、きっとすばらしい医師で終わっていただろうと残念でなりません。
オウム真理教は何だったのでしょうか。入信者は皆こころ優しい人々に見えます。麻原の「最終解脱者」、「空中浮遊」にまんまと乗せられただけなのでしょうか。いつの時代にもこのような雄弁家とその信者たちの悲劇が繰り返されています。
信じるのはいい、しかし信じ込んでしまうと後に戻れない。
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春を告げる菜の花が咲いています。灰色の風景の中に突然、鮮やかな黄色の帯びが広がり、見るもののこころをウキウキとさせます。この花を見るとセーターを脱ぎたくなります。明日はきっとよい事ありそうです。
菜の花に 負のエネルギー 預け置き

「今週の病気」
スギ花粉が飛んでいます。数は例年より少ないようですが、初めて花粉症になった人も良く見られます。
子供の嘔吐下痢症が増えています。
インフルエンザはすっかり影をひそめています。B型インフルエンザが流行る頃ですが、まだ見かけていません。
「今週の患者さん」
「夜中に耳を叩かれたような痛みがありました」と70才になる女性が来られました。耳を診ると鼓膜は正常です。外耳道が少し赤くなっています。
「おかしいですね、耳は余り悪くはないですよ。夜中に本当に誰かに叩かれているんじゃないでしょうね?」
「そうでしょうか?」 「しかし、左だけ叩かれるというのは変ですね?」
「そうですよ」
「やはり、外耳道炎でしょうね」と言って、外耳道に軟膏を塗りました。
翌日、さっぱりした顔で来られました。
「昨夜は痛くありませんでした。誰にも叩かれませんでした」
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