週刊 談話室  
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2008年12月18日号


「今週の談話」

 10年以上まえから耳の治療で通院されている患者さんがいらっしゃいます。

 耳が遠いので、40cmくらいまで顔を近づけて話をされます。

 

耳のツボを解説した模型

 「先生が、100歳になったら耳の模型をくれるといわれたので、頑張って生きています」

 「エッ、そんなこと言いました?」

 「耳の模型の裏に名前を書いてプレゼントしてくれると言っていました」

 

 私はすっかり忘れています。

 東洋医学で使う、耳のツボを解説した模型を取り出してきて訊ねると、これだと言われました。

 私はすっかり忘れていたのに、この方はずーっと覚えていたのです。

 

 「今いくつですか?」

 「99歳です。来年5月で100歳です。長いこと生きても何もいいことありません。耳は聞こえなくなるし、ふらふらめまいもするし。この前は貧血で1ヶ月も入院していました。この模型をもらえることを楽しみにして生きてきました」

 そういえば数年前に、耳鳴りや聞こえを良くするツボを教えてくれといわれ、この模型を取り出してきて説明したような気がします。

 

 99歳の方鮮明に記憶されているのに、私のほうはあいまいでボケています。

 この女性明治42年5月の生まれです。

 髪はしっかりとしているし、顔も綺麗なままです。

 少し耳は遠いのですが、歩いて来られるし、いつもにこやかにしています。

 

 それでは100歳になる前の記念に写真を撮りましょう、と言ってデジカメで撮りました。

 気が付くと、肩を組んでいました。

 そして彼女の手にはがあります。

 この方は10年前に「小石の芸術展」吊るし柿の作品を出してくれました。

 そのことを思い出し、庭にあったをもいでおみやげにあげたのです。

記念撮影

 これにあやかって私も100歳まで生きられるかもしれません。

 長生きしてもいいことは何も無いと言われましたが…。

 



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