2008年5月26日号
「今週の談話」
「小泉改革」の余波は様々な分野で問題となっています。
私たちの医療界でも、「医療崩壊」が大問題となっています。
医療改革の名のもとに行われた医療費削減策では、医療機関に対する診療報酬の引き下げと患者に対する自己負担金と保険料の引き上げを行いました。
これにより、医療機関の経営の悪化と患者の自己負担の増加を生みました。
誰もが苦しむ結果となりました。
この医療改革はイギリスの改革を手本にしたそうですが、イギリスではすでにその改革が失敗であったと認め、現在では医療費を増加させて落ち着きを取り戻しました。失敗したイギリスの医療改革時にはその過酷な労働条件に耐えられず、優秀な医師たちが国外に大量に流出し、逆に発展途上国から医療技術の未熟な医師を受け入れることになって、大いに医療が荒廃しました。
4年前から始まった臨床研修医制度と独立行政法人化は医局制度を崩壊させました。教授に権限の集中する医局制度は少なくとも医局員をコントロールできましたから、関連病院や地方の病院に医師をなんとか派遣できていました。しかし今は医局員が不足しているため、各地の病院から医局に医師を引き上げさせるようになりました。これにより各地の医師不足を招く結果となりました。
医師の治療結果を不服として医療訴訟が増加し、マスコミも医師に対するバッシングを続けました。非難されるのを恐れ、訴訟になりやすい産科医を選ぶ医師は減りました。
夜間救急を受け入れている小児科はその過酷な労働条件のため小児科医が減っています。
医療のコンビニ化と謳われていますが、夜間救急に軽症者が押しかけるようになり、ますます小児科医や夜間救急医は疲弊しきっています。
医師不足が言われていますが、不足しているのは過酷な労働をしている勤務医です。過酷な労働条件を嫌って、勤務医を辞めて開業する医師が増加しているため、ますます勤務医は不足しています。もしも医師の絶対数を増やしても、この状況は何も変わらないでしょう。
この医療状況下で私が一番恐れているのは、医師のモチベーションの低下です。このまま医療費抑制策が続き、ますます不当な医療訴訟が広がると医師の間にやる気が失せてきます。
医師は病気を治してこそ医師です。診療意欲を失えば患者側に迷惑がかかります。医療の質の低下を招きます。やる気を無くした医師たちは医療とは別の世界に軸足をかけています。
今の医療制度は誤っています。
一日でも早く、正しい方向に舵を切ってほしいものです。
そのヒントはイギリスにあります。
「野に花、山に鳥」
木々がうっそうと茂ってきました。
見上げてみてもただの木ですが、二階から見下ろすと白い十字の花をつけています。
ヤマボウシです。
春の終わりに楽しみを分け与えてくれます。
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