週刊 談話室  
■戻る
 

2008年6月3日号

「今週の談話」

 日常診療をしていると、様々な患者さんと出会います。

 治療後に感謝してもらうこともあれば、逆に気分悪くなる印象を残す人もいます。

 70才の男性。

 魚の骨を立てて喉が痛いと言って来院されました。

 のどを観察しても魚の骨はありません。

 しかし、喉頭蓋が腫れています。急性喉頭蓋炎です。

 このまま放っておくとどんどん腫れ上がって、呼吸ができにくくなる可能性があります。最悪の場合は突然死の恐れがあるのです。

 その旨説明を行い、急いで病院に行ってもらいました。

 

 少し前にも同じ急性喉頭蓋炎の患者さんがいました。

 病院を紹介して急いで行ってもらいましたが、病院の待合室で呼吸困難となり、緊急気管切開で命を取り留めました。

 この方は「命が助かった」と、退院後私のところにお礼に来られました。 私もほっとしました。

 

 今回も呼吸が止まったら大変と思い、急いで入院治療してもらいました。

 そして、2週間後退院してその報告に来られました。

 開口一番、「やられた、やられた、長い間入院させられて困ったよ」と大声でまくし立てました。

 のどを覗いてみると、きれいに治っていました。

 何を怒っているのでしょう、命を救ってもらったのに。

 

 病院からの治療報告書を見ると、驚くべきことが書かれていました。

 「喉頭蓋の腫脹は若干残っていますが、無断外出をしたり、大声を出したりとトラブル多く、退院希望も強いため、退院となりました」

 

 家族も一緒に来られていたため、急性喉頭蓋炎の怖さを説明し、残していた治療前後の喉頭蓋の画像を見せました。

 それでも感謝の言葉もなく「患者を殺したら、大変だからな」捨てゼリフを残して帰っていきました。

 

 数日前にもまた急性喉頭蓋炎の患者さんが来られました。70才女性です。

 私の外来治療でも大丈夫そうでしたので、手を尽くして治療しました。

 日に日に喉頭蓋の腫れは引き、5日後には治りました

 この方は「助かりました」と素直に喜んでくれました。

 

 色々な患者さんがいます。

 病気を治し、喜んでもらうのが私たちの仕事です。

 素直に感謝してくれると私もうれしくなります。

 

「野に花、山に鳥」

 木々の下にぽやぽやした花を咲かせるシモツケ

 

 

 多数の雄しべがもくもくと突き出て、淡いピンクのかたまりをつくっています。

 幼子の産毛のようで、親しみがわきます。

 



■戻る