週刊 談話室  
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2017年10月15日号

「今週の談話」

秋の花の楽しみの一つに「秋明菊(しゅうめいきく)」があります。中国から古い時代に入ってきた帰化植物で、貝原益軒は「大和本草」で「秋牡丹」と紹介しています。今の園芸書には「秋明菊」「秋牡丹」で紹介されることが多くなり、「しめ菊」「加賀菊」「越前菊」「貴船菊」「唐菊」「高麗菊」「秋芍薬」などの多様な別名で呼ばれています。花色はもともと赤紫色ですが、近年、他種との交配品種がすすみ、弁数が少ない品種や白色の品種が多く栽培されています。

花屋に行くと白や紫の「秋明菊」が並んでいます。青空に伸びやかに簡素な形の花が背を伸ばしている風情です。

鉢のまましばらく花を楽しみ、花が散る頃に地植えするのが通例ですが、なぜか地植えしても次の年には芽を出さないことが多く、栽培は難しいです。

今年もを買ってきました。一週間ほどしてなんとなく花に勢いが無くなり、花も葉も垂れています。水は十分やっているのに変です。なぜか分からないまま、庭の隅に地植えしてみました。

植えたのは1時頃でした。4時頃、妻が「見てみて」と言うので、植えた「秋明菊」を見ると奇跡的に元気になっていました。花はしっかり背筋を伸ばし青空をみつめ、葉は両手を広げるようにすくっと伸びています。地植えして3時間後には枯れかかっていた花が元気を取り戻したのです。

秋明菊

鉢物は根をぎゅぎゅう詰めにしていますので、窮屈だったのに違いありません。

乗り物の狭い座席に座っていると気分が悪くなるのと同じことです。鉢の花はエコノミー症候群になっていたのでしょう。根を広げ、自由にしてあげると、水分や酸素が根から吸収され花や葉の先まで届くことになります。

しっかりと根を伸ばしてあげないと何も育ちません。人はもちろん、医学に渡るまで、全てについて言えることです。

日常診療についても多くのことが言えます。頭でっかちとも思える論文、教科書の知識だけでは実際の診療には解決できないことがたくさんあります。根本的に患者さんを通して病気を見ることで、治せなかった治療の糸口が見えてくることがあります。

何事も根を大切にすることが大切です。

「今週の俳句」

曼珠沙華

次の朝こんなところに曼珠沙華



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