くが耳鼻咽喉科(愛媛県松山市北条)

週刊 談話室

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2024年6月13日号

「今週の談話」

先日NHKテレビで下町の修理専門の靴屋さんの話が紹介されていました。

靴屋さんと言えば岡林信康の「チューリップのアップリケ」を思い出します。貧しくてお母さんが家を出て行ったため、早く家に帰ってきて欲しいという内容のフォークソングでした。

テレビに出ていた靴屋さんどんなに傷んだ靴でも、履いている人の思い出の靴なので、なるべく元の形になるように直してあげることを目標にして、どんな靴でも断らず受け入れて直しているそうでした。

かなり前に見たテレビ番組では四国の田舎家庭電気器具(ラジオ、テレビ、冷蔵庫など)で動かなくなったものを、動くようにするという電器屋さんが紹介されていました。全国から依頼が殺到していますが、どんなものでも直していました。部品が無くなったものは部品を作ってまで対応していました。

こういう番組をみていると自分も医療の修理屋さんなのだと思いました。自分でできそうなことはほぼ何でも患者さんの要望に沿うようにしています。

上咽頭炎、後鼻漏、繰り返す扁桃炎、顔面神経麻痺、副鼻腔炎、中耳炎、めまい症、耳管開放症などの病気は常識的ですが、ついでに腰が痛い、脛が痛い、肩が痛くて腕が上がらないなどと言われたらすぐに対応します。皮膚病では一般の皮膚炎の他、子供さんの水いぼ、難治性のアトピー性皮膚炎掌蹠膿疱症なども治します。

東洋医学を勉強して来たので、ほぼ何でも治すことにしています。

またこれを応用して当然なことですが耳鼻咽喉科の範囲では突発性難聴で聴力が落ちて数か月たった人の難聴耳鳴りや、様々なめまいを治しています。

先日ある医院から突発性難聴後の難聴メニエル病によるめまいで困っているという患者さん(中年、女性)の相談が寄せられました。前回この週刊談話室に書いたのとほぼ同じような内容の方でした。「そういう患者さんは何人か治療して治したことがありますので、治療してみます」と返信を書きました。

この方は、正確に言えば三年前に突発性難聴にかかり聴力の低下耳鳴りが生じ、それ以来その症状は治っていないそうです。また昨年からめまい感が生じ、特に天気が悪いときにめまい感が強くなると言われました。

この時も漢方薬鍼治療を中心に治療を行いました。2週間後聴力検査では

右500㎐45dB→25dB、1000Hz45dB→30dB、2000Hz30dB→20dB

平均的には41.3dB→26.3dBと改善し、耳鳴りもほとんど消えました。めまい感も天気が悪くても気にならなくなったそうです。自覚症状では全て良くなっていました。

修理をしたものを届けるときのあの靴屋さん、電器屋さんの心理は私と同じものだと思いました。治して喜んでもらえたらどんな仕事をしている人も嬉しくなります。

私の医院は平成元年6月16日開院しました。それを記念して6月16日を開院記念日として休診にすることにしました。

これを聞きつけてくれたある調剤薬局が胡蝶蘭をわざわざ届けてくれました。

見たこともない不思議なブルーの胡蝶蘭です。

私のスタッフの一人が偶然NHKの早朝番組でこの胡蝶蘭を取り上げているのを見たと話してくれました。さっそく調べてみると、石原産業株式会社が「DNA組み換えにより天然の青色を出すことに成功し、世界で初めて青色胡蝶蘭を誕生させ青色コチョウラン(BLUE GENE)という商品名で販売している」そうです。

石原産業株式会社
https://www.iskweb.co.jp/bluegene より引用

一方人工着色によって色付けた胡蝶蘭(ブルーエレガンス)もあります。これは「白色の胡蝶蘭を生産段階で青色の染色液で着色し、花弁を内側から青く染めたもので、花の中心からグラデーションがかかっている。植物が根から水を吸い上げる原理を利用し、水溶性の着色剤を与え、茎を伝って花を青色に着色させる方法を胡蝶蘭に応用した」そうです。こちらは株式会社正花園が販売をしているそうです。

株式会社正花園
https://www.shokaen.com/feature/blueellegance より引用

私が頂いたものはBLUE GENEともブルーエレガンスとも表示がありませんでしたが、グラデーションがかかっていることから後者の商品のようです。

いずれの胡蝶蘭も「これを基に増殖させることは禁じられている」そうです。

青い胡蝶蘭 ブルーエレガンス

胡蝶蘭星に揺られて藍の色

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