南海放送ラジオ「らくさぶろうのモーニングオン」出演!
らくさぶろうさんと対談
南海放送ラジオ番組「らくさぶろうのモーニングオン」に出演しました。
今回はこの番組の放送内容を載せます。(11月5日 放送)
楽)らくさぶろう 久)私です 楽)早速ですが、「肩こり」で困っている人が多いですが、「肩こり」って何ですか?
久)身体中の組織には血液がめぐって栄養分を補給していますが、血液の巡りが少なくなると栄養不足で組織が硬くなります。肩の周囲でこれがおきると「肩こり」になります。血液の巡りが悪くなる原因としては、身体の冷え、女性の更年期症状に多いのですが末梢血液の循環不全(お血と言います)、偏った姿勢、ストレス、過労などの他、風邪のひき始めや糖尿病、肝臓病などでもおきます。結局、肩の周りの血の巡りが悪くなると肩がこるのですね。
楽)なるほど、寒いと肩をすくめていつの間にか肩がこっていますよね。治し方を教えてください。
久)「肩こり」は日本人にはおきて西洋人にはみられないと言う説があります。
そのせいか、「肩こり」を治すことを目的とした薬は西洋薬にはないのですね。
日本には漢方薬、お灸、マッサージなど色々あります。
楽)漢方薬に興味があるな、教えてください。
久)筋肉痛に効く芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)、かぜのひきはじめに葛根湯(かっこんとう)、更年期症状や鞭打ちに桂枝伏苓丸(けいしぶくりょうがん)、冷え性に当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)などなどですね。他にもたくさんあります。
楽)お灸はどうですか?
久)お灸はいいですね。痛くない、おしゃれなお灸もあります。松山は日本で一番お灸が盛んなのですよ。知っていました?その他に瀉血療法という血を少しだけ取る治療法もあります。これは効きます。病み付きになります。これらはつぼの治療です。お灸などで使うつぼは、肩井(けんせい)や膏肓(こうこう)、天柱(てんちゅう)などです。
楽)いいことを聞きました。ところで、先生は「めまい」に詳しいということなんですが、「めまい」と今日のテーマ「肩こり」には関連があるそうですね。どんな関係性があるんでしょうか?
久)一番分かりやすいのは、むち打ち症のように首が凝ったときです。首をひねると一時的に頭に行く血液が減って「めまい」がおきます。肩こりがひどいときにもおきます。更年期症状が出てくると、肩がこりやすく「めまい」がしばしばおきます。これらは桂枝伏苓丸(けいしぶくりょうがん)がよく効きます。
楽)「めまい」は他にもありますよね。
久)「めまい」は色々あります。まず「メニエル病」について詳しくお話します。
ストレスやウイルス感染などで、突然「めまい」がおきます。2〜4日間ほど起き上がれないほどの「めまい」が続きます。人によっては耳がつまる感じや耳鳴りを伴います。また、「めまい」がおきるときは、自律神経症状として肩こり、吐き気などを伴います。この病気は年に数回から数年に一度など「めまい」を繰り返すのが特徴です。
楽)「めまい」がおきると頭がおかしくなったのかと思いがちですが、これは耳が原因なのですね。
久)メニエル病は耳の奥の内耳にリンパ液が余分に貯まって「めまい」をおこす病気です。増えたリンパ液を減らせば「めまい」は治るのです。漢方薬の苓桂朮甘湯(りょけいじゅつかんとう)がよく効きます。この漢方薬は水分を取る薬なので、内耳に貯まった余分なリンパ液が取れて「めまい」が治ります。
また気分を良くする働きがありますので、肩こり・頭痛も改善します。苓桂朮甘湯(りょけいじゅつかんとう)を継続して飲むと繰り返しおきる「めまい」を防ぐことができます。西洋薬のめまいの薬より良く効きますよ。
楽)その他の「めまい」も簡単に教えてください。
久)起き上がるときに頭の位置を変えただけで「めまい」がおきることも多いです。これは頭位めまい症と言われます。耳の三半規管の中にゴミがプカプカ浮いて、方向を変えるたびに平衡機能を失わすので「めまい」となるのです。このゴミ、本当は耳石という砂なのですが、これを元の場所に戻して「めまい」を治す治療法があります。
楽)美容室でイスに寝かされたとき、「めまい」がおきる人もいますが、これはどうしてですか?
久)首に圧迫がかかり、血液が一時的に頭に行きにくくなっておきるのでしょうね。
楽)中学生くらいの子供がお腹が痛い、頭痛や立ちくらみがするということをよく聞くのですが、これはどうなんですか?
久)起立性血圧調節障害という長い病名の「めまい」ですね。思春期の子は身体が急に大きくなりますが、心臓・循環機能が成長に追いつかないので、このような症状がでるといわれています。これも、半夏白朮天麻湯(はんげびゃくじつてんまとう)という漢方薬が不思議と良く効きます。数ヶ月飲むと治ってしまいます。
楽)このような「めまい・肩こり・頭痛」については今度の公開講座でもっと詳しく聞くことができるのですね。
久)11月14日の土曜日、午後2時から4時まで、三番町の愛媛県医師会館で「えひめ東洋医学公開講座」を開きます。テーマは「頭痛・めまい・肩こり」です。講師は愛媛大学医学部神経内科の野元正弘教授、東洋医学研究所の鍼灸師の方、そして私です。入場料は無料で、当日自由にご参加ください。難聴者の方にも対応しています。医師会館は以前に千舟町にダイエーがありましたが、そこの裏にあります。
楽)じっくりとお話聞いてみたいです。
さて、先生、今インフルエンザが大流行しています。先生は漢方で治療されているそうですが、漢方薬で治るのですか?
久)「インフルエンザ」の治療薬としてタミフルが有名ですが、この薬はインフルエンザウイルスが身体の中でどんどん増え続けるのを抑える薬です。
一度インフルエンザウイルスが身体の中に入るとのどや気管で炎症を起こしますが、この炎症を防ぐ働きはタミフルにはないのです。
楽)そうなんですね。
久)漢方薬の麻黄湯(まおうとう)がいいのです。これは、汗を出させる薬です。インフルエンザでも感冒でもいいのですが、かぜ様症状があれば、麻黄湯(まおうとう)を飲みます。それで汗が十分出ればそのまま翌日にはほとんど治ります。一回で汗が出ないと、約4時間後にもう一回飲んでください。
麻黄湯(まおうとう)は炎症を回復させる働きもあるため良く効くのです。
ただ元々汗かきの人は、発汗しにくい桂枝湯(けいしとう)が適しています。
楽)初耳ですね。解熱薬は飲んでもいいのですか?
久)解熱薬は治療の妨げになります。体温が上がるのはウイルスと闘う免疫力を高めていることなので、薬で無理に熱を下げない方が早く治ります。
かぜの初期症状の寒気、微熱、鼻水・くしゃみ、頭痛、肩こりなどであれば葛根湯(かっこんとう)もよく効きます。
楽)先ほど紹介していただいた11月14日の「えひめ東洋医学公開講座」で久我先生は、“漢方医学からみためまい”というテーマでお話されるんですよね。
「めまい」だけでなく漢方に興味がある方もぜひ足を運んでみてください。
最後になりましたが、先生は俳句も趣味にされているそうですが…
久)おもしろ俳句です。下手ですが、今日のテーマを詠みますと…
めまい来て春もかすみて城下かな
風邪去りて恋の発熱残しけり
(2009年11月4日号から)
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