週刊 談話室  
■戻る



2004年11月22日号

「今週の談話」

 最近TVの健康相談で新しい耳鳴りの治療についての話題が取り上げられたそうです。これを見ていた患者さんから、私の医院でもしてないのかと聞かれました。

 新しい耳鳴りの治療法とは、TRT療法のことです。

 1990年前後にアメリカのジャストレボフ教授の考えに基づいて考案された治療法です。人によっては、耳鳴りは不安や苦痛となりますが、この不愉快な耳鳴りを機械的に自然な雑音を被せることにより、不愉快と感じさせないようにする方法です。周囲に邪魔にならない範囲の雑音であれば、耳鳴りを意識しなくなるという神経生理学的事実を応用したものです。

 雑音発生装置耳掛け型補聴器と同じ形です。価格は6万円程です。しかし、この装置をフィティングする機材は医療機関が購入しなくてはなりません。パソコンも必要なため、結構な負担になります。

 治療器の調整とカウンセリングに1〜2年かかります

 1年半の治療後、約80%に著明な改善効果が見られたそうです。

 

 果たして、この治療器は普及するでしょうか?カウンセリングしたり、細かくパソコンで微調整する必要があるため、医療機関にかかる負担は大きく、忙しい外来で対応するのは困難に思えます

 治療効果が上がるまで1〜2年かかります。患者さんが、我慢して付き合ってくれるでしょうか?脱落者が多くなりそうです。脱落者を含めた治療効果判定をするなら、改善率は大幅に下がるでしょう。

 TRT療法が効果を上げるためには、医療機関と患者さんが我慢強くなくてはなりません面倒くさがりのお医者さんとせっかちな患者さんには向いていません

 

 

もず 小春日和となった休日の昼過ぎ、重信川に架かる出合大橋の河川敷に出かけました。水辺で遊ぶ子供たちの歓声が聞こえてきます。野鳥も豊富で、水辺にも木々にも鳥の声が響いていました

川原

 

 

「今週の病気」

 突発性難聴の患者さんがまた増えました。この時期に多いのは不思議です。内耳に向かう栄養血管は細いため、ウイルス感染やストレスで血液の粘稠度が強まると内耳が栄養不足、酸素不足になり、急速に聴力が低下すると考えられています。

 突発性難聴と思われる患者さんの中には、メニエル病も混じっていますから、注意が必要です。

 

 

「今週の患者さん」

 おたふくかぜが流行っていると言われていますが、この子もおたふくでしょうか?と言って5才の女の子を連れて来られました。

 右の耳下腺が少し固くなっています。しかし、左の耳下腺は腫れていません。顎下腺も腫れていません。以前も同じ様に腫れたことがありました。

 この子の場合は反復性耳下腺炎でしょう。

 反復性耳下腺炎は、10才未満の小児に多くみられます。成長に従って自然に治ります。まれに成人でもみられます。免疫力が低かったり、抵抗力が低くなったときに口の中の常在細菌が耳下腺に入り込んで感染を起こします。片方だけ腫れることもあるし、両方腫れることもあります。年に1〜5度繰り返します。

 おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)は、顎下腺や舌下腺なども腫れます発熱と唾液腺の疼痛、腫脹があり治るまでに約7日間を要します。内耳炎を誘発して、難聴、めまいが起きることもあります。成人では睾丸炎を生じることもあります。



■戻る