週刊 談話室  
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2004年4月5日・12日合併号

「今週の談話」

 4月11日に広島で講演会を行いました。「漢方実践セミナー」と銘して、漢方治療の基礎から応用までを4時間に渡って話しました。私が独自に行っている治療法も所々に挿入して、緊張感を作りました。耳鼻科医、小児科医、内科医の先生方に聞いて頂きました。

 この講演会に備えるために、しばらく多忙でした。いままでの講演会では過去のスライドを組合せていたのでしたが、今回はパソコンのパワーポイントでスライドを作り直したり、講演内容のテキストを一から作成したため大変時間がかかってしまいました。次回からは楽になります。主な講演内容を記します。

 

  1. 治りにくい風邪と咳
  2. めまいの色々な症例と治療
  3. 小児・女性・高齢者に効く漢方薬
  4. アレルギー性鼻炎、中耳炎、副鼻腔炎、耳鳴りを治す
  5. ハリを生かす、ツボの治療

 

 講演会で話した「総論」の一部を記します。

 

― 漢方の世界 ―

 

 現代に使われている漢方医学約2000年前に発祥したものといわれ、1800年前、後漢(25〜220)の時代に張仲景により編纂された「傷寒論」(急性熱性疾患を扱う)、「金匱要略」(慢性疾患を扱う)が原典とされている。今もこの時代に作られた処方がたくさん使われている。その後、唐(618〜979)、宗(979〜1127)、金・元時代(1127〜1368)や明・清時代(1368〜1949)に作られた処方もある。

 現代医薬が、数年の開発と数週間の治験を経て新薬として発売され、その後数年間の発売後治験で振るいに掛けられる拙速さと比して、漢方薬は、極めて長期に渡る臨床治験に耐え抜き、副作用の少ない、効果の高い薬だけ残している。この間淘汰された薬はおびただしいものと思われる。これが漢方薬のエビデンスと考えます。

 特に日本の漢方エキス剤はツムラ漢方に代表されるように品質が極めて高いため世界の注目を集めています。

 

 

 心地よい春風が吹いてくると、木々に芽が吹き、庭は新緑に包まれます。まだ花は少ないのですが、藤棚からが少し垂れ下がっています。今から日に日に花が下に伸びて行きます。

 

「今週の病気」

 季節の変わり目は色々な病気がでてきます。めまい、突発性難聴、嘔吐下痢症の他、風邪による中耳炎も増えています。

 花粉症は雑草の花粉が飛んできました。

 

 

「今週の患者さん」

 耳鳴りに悩んでいる男性。決して大きい耳鳴りではないのですが、ズーット気になっています。くすりも色々試し、ハリなどの治療を行いましたが、効果が上がりません。治らないと、誰でも一緒ですが、病院を次々と変えて行きます。しかし、結果は芳しくありません。結局、ナンヤカンヤ言いながら、私の治療を受けています。

 耳鳴りは治り難いので、それだけ耳鳴りに関する本もたくさんでています。

 彼は本を買っては、私に相談に来ます。ある時は、「モーツヮルトを聞いて、耳鳴りを治す」という本を買ってきました。

 「これを、聞いていいでしょうか」といわれたので、精神安定にはいいと思い、「聞いてみて下さい」と、奨めました。しかし、念のため訊ねてみました。 「これはCDですが、これを聞く機械持っていますか?」

 「ハァ、それがいるのですか」

 心配した通りです。それからCD再生機を買って来て、毎日数時間モーツヮルトを聞いていますが耳鳴りは改善していません

 先日は又、がさがさと買い物袋から本を取り出して心配そうに訊ねます。

 「きな粉ドリンクで耳鳴りが治ったと書いているのですが、どうですか?」

 「治るかもしれませんよ。やってみて下さい」と言った時、その雑誌についているCDを見てびっくりしました。

 「このCDを聞けば20才若返る」と書いています。CDを聞けば、白髪が黒くなり、耳鳴りも治るのでしょうか?まさかまさか。多分この本は、読者から 「治らないじゃないか。若くなんかならないぞ」と、言われたら、

 「心は、若返ったでしょう」と、返答を用意しているのでしょう。

 耳鳴りは、内耳の変性が来てしまうと治りにくいのです。耳鳴りに悩んでいる人は多いのですが、十分に対応できていないのが現実です。



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