2005年5月2日・9日合併号
「今週の談話」
新妻聖子さま
あなたにお会いしたのは、青森の学会の帰路に東京に立ち寄り、偶然「ミス・サイゴン」を見たときでした。ミュージカルなど見たことがなかった私が、この舞台を見てあなた様をはじめて知りました。
「ミス・サイゴン」は素晴らしい出来ばえでした。皆様がエネルギッシュに歌い踊り、全てが私には新鮮でした。
その中でも、あなた様の歌声はいつまでも私のこころに残りました。小さいからだから生まれる、帝国劇場の隅々まで響きわたる声は、わたしを心地良くさせました。
もう一度あなた様の歌声を聞きたいと思い、連休を利用して「レ・ミゼラブル」を見に行きました。
6列目の特上の席から、あなた様の出番を今か今かと待っていました。今回は見逃してはなるかとばかりに、バードウォッチング用のニコンの双眼鏡を持って参りました。あなた様はやっと後半に出てこられました。わたしの胸は高鳴りました。双眼鏡を取り出し、懸命に見ました。
やはり素晴らしい、あなた様の歌声は素晴らしい。美しい声は朗々と響き渡り、誰もがうっとりと聞きほれていました。わたしの後ろの席の方は、あなた様の歌が終わると思わず「ウッ」と声を飲み込んでいました。
わたしはこの時発見しました。他の方々の歌声はまるで楽器が奏でる音です。無機質的に響く乾いた音に聞こえます。しかし、あなた様の歌声は柔らかい、ぬくもりのある人の声です。楽器ではありません。
あなた様の歌声は、天から舞い降りたる、天使の歌声かと思われます。この心地よい響きは母親の胎内で聞いた歌声のようにも聞こえます。美しさと悲しさ、暖かさと豊かさ、なんとも形容のしがたい感動が胸に湧いてきます。眼には涙がうっすらとにじんできます。なぜか、わけも無く、マヘリア・ジャクソンの顔が浮かんできます。ゴスペルでもないのに、なぜゴスペルに聞こえてくるのでしょうか。
鼓膜から耳小骨を経て、あなた様の歌声は内耳有毛細胞を美しくなびかせ、大脳聴覚野に届きます。神経細胞の一つ一つを、気持ちよく刺激します。
双眼鏡を覗いていると、顔の豊かな表情、指先の一つ一つの動きが鮮明に近くで見ることができました。歌声だけでなく、からだ全体を使った細かい表現力に感服いたしました。
早速、ファンクラブに入りました。自由に使ってよいと書かれていましたので、あなた様のお写真を掲示させていただきます。
夏には、気合を入れて、「マドモアゼル・モーツァルト」を見に行きます。
おからだを大切になさって、いつまでも美しい歌姫でいてください。
「野に花、山に鳥」
モズが春雨に濡れていました。
すこし変わった、モズの姿が撮れました。
後姿には哀愁が漂います。
山頭火の「後ろ姿のしぐれていくか」が思い出されます。

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