週刊 談話室  
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2005年8月22日号

講演の演目

 高知に講演に出かけました。

「高知 漢方臨床セミナー」と称する会合で、漢方治療に対して講演しました。

耳鼻科医、内科医など約30人が聞きに来られました。

 この中で、私が最近発見した治療法についても述べました。

 少し専門的になりますが、今回はこの病気に対する治療について書きます。

 この病気の治療は的確なものがなく、患者さんが苦慮されています。私の治療方法が少しでも役立てばうれしく思います。

 なお、このことに関して、「東洋医学会」、「耳鼻咽喉科学会」でも発表する予定です。

 この発表演題の抄録です。

 

「耳管開放症」の病態と治療〜私の経験

 

 「耳管開放症」は耳管が持続的に開放状態にあることにより、耳閉感自声強調(自分の声が強調されて不愉快に聞こえる)、呼吸音聴取(鼻呼吸するときにゴーゴー、ザーザーなどの音が聞こえる)などの不愉快な症状を生じる。これらの症状は前屈、仰臥位により消失する。

 原因は耳管周囲の脂肪などの支持組織の減少、硬化による。

 治療は耳管咽頭口への薬剤(ルゴール液など)噴霧、加味帰脾湯の内服、耳管ピンの耳管内腔への挿入などが行われている。(小林俊光「今日の耳鼻咽喉科治療指針」)

 私は、本症の局所を観察した結果次の特長を発見した。

 耳管咽頭口周囲粘膜〜鼻腔粘膜の乾燥、鼻腔〜上咽頭に粘性分泌物の付着、

 口腔内の乾燥、耳管通気時の乾燥音

 これらの点から、本症は耳管粘膜の乾燥化により耳管が広がり諸症状を生じているものと考えられる。

従って、いわゆる「耳管開放症」の中には「耳管乾燥症」と考えられる病態が存在すると考えられる。

 治療耳管周囲の乾燥を改善するため、白虎加人参湯、麦門冬湯、滋陰降火湯などの滋潤剤が適している。今回は白虎加人参湯(びゃっこかにんじんとう)を用いて治療を行った。

 

講演の様子 講演の様子

 

 

(症例1)36才 女性

3日前から耳がつまった感じがし、鼻から耳に呼吸音が抜けて呼吸困難となる。

下を向いたり、横になると治る。口腔内、耳管周囲やや乾燥。音響耳管法によ

り耳管開放症と診断する。白虎加人参湯を投与した。内服直後から症状軽快し、

2日後治る。

 

(症例2)62才 男性

10日前から左耳に耳鳴りが生じる。フーッ、フーッと呼吸音と同じ音が聞こ

える。下を向くと治る。口腔内、耳管周囲やや乾燥。音響耳管法により耳管開

放症と診断する。白虎加人参湯を投与した。2〜3日後から症状軽快。ほとん

ど気にならなくなる。

 

(症例3)73才 男性  

半年前に胃がんの手術をしている。術後から左耳が、ゴーゴー音がしている。

頭を下げると治る。耳鼻科外来を受診。「そのうち治る」と言われるも治らない。

口腔内、耳管周囲乾燥。音響耳管法により耳管開放症と診断。白虎加人参湯を

投与した。内服数日してから不愉快な音は軽快した。

 

(症例4)72才 女性  

5年前から耳管開放症にて、加味帰脾湯を内服している。内服すると気分は良くなるも、自分の声が耳に響く、ゴーッと音がする、鼻で息をすると響く、などの症状は残って治らない。口腔内乾燥あり。白虎加人参湯を投与した。内服数日してから不愉快な音は軽快した。

 

滋潤作用のある白虎加人参湯「耳管乾燥症」に用いると、乾燥化した耳管粘膜は潤い、耳管機能が正常化する。白虎加人参湯を内服すると、早期から効果が生じるのが特長である。(白虎加人参湯:知母、石膏、人参、甘草、粳米)

 

 


 

 


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