2005年9月11日号
「今週の談話」
北条ユネスコの「わくわく小石の芸術展」に出品するため、作品を作りました。今回の作品は石のゴツゴツ感を生かした鬼オコゼです。

大きい石の本体に、小さい石のひれをくっつけます。瞬間接着剤で接着して数分後、もうくっついたかなと石を触りました。すると指先に接着剤が付きました。気が付くと親指と人差し指がくっついて離れません。
「やばい、指が離れない」と混乱しました。それでも何とか皮膚と皮膚が剥離しそうになりながらも、力を入れて離しました。
他の指に付着した接着剤は剥がれません。指先の皮膚呼吸ができなくなったような感覚が襲ってきます。石鹸で洗っても、ベンジンで拭いても外れません。
接着剤の説明書きを読んでみるとびっくりしました。
「目に入れないように注意:この接着剤は目やコンタクトレンズを瞬間に接着するので目に入れないように十分注意すること。誤って目に入った場合は、無理に剥がそうとせずに多量の水で洗顔し、医師の診断を受けること」
「皮フ接着注意:この接着剤は皮フを数秒で接着するため、皮フにつかないよう十分注意こと。誤って指を接着した場合は、お湯の中でゆっくりもみほぐしながら剥がすか、瞬間接着剤はがしを使用すること」
多分、目に入れた人もいるのでしょう。目が閉じて大混乱したはずです。大量の水では剥がれないでしょう。医師のところに連れてきても、どうしようもありません。皮膚と皮膚がくっついただけで混乱している医師(私)がいるのだから、接着剤で目とまぶたがくっついた人を治せるはずがありません。
お湯で指先を“もむように”洗うと少しずつ接着剤は剥がれましたが、8割りは残っています。
いつかは剥がれるだろうと、あきらめました。あきらめて風呂に入りました。風呂から出てみると、ほとんど剥がれました。
説明書きに追加することを希望します。
「もし剥がれないと、あきらめて風呂にゆっくり入ってください」
鬼オコゼの荒々しさを見ていると、柔らかい優しい作品を作りたくなりました。少し
太り気味の岩魚です。
「今週の患者さん」
「3日前から急に耳が聞こえなくなりました。耳に音が響き、耳鳴りがします。吐き気までします」
35才の女性が困惑気味に来られました。
問診だけなら、突発性難聴です。
しかし、時々落とし穴が待ち受けています。
耳を見るまでは分かりません。
急性(滲出性)中耳炎かもしれません。メニエル病かもしれません。耳管の異常かもしれません。そして…。
耳を見ました。やはり。耳垢です。しっかり、奥のほうに耳垢が押し込まれています。
耳垢を柔らかくするくすりを入れた後で、耳垢を取りました。
「あら、耳垢だったのですか。毎日、毎日綿棒で耳垢を取っているのに」
「あなたの耳垢は柔らかいので、綿棒で奥に押し込んでいたのです」
このような人はたくさんいます。
勤務医の頃、先輩医師から「初診の患者さんで聞こえが悪いと言って来た人には、先ず聴力検査をしてから診察に回すように」と言われていました。
しかし、耳垢をつめた人はかなり多いのです。
急に聞こえなくなったとき、急いで大病院に行くと、少し恥ずかしい思いをすることがあるかもしれません。
|