2006年12月10日号
「今週の談話」
NHKで見た番組が興味を引きました。
完全自然農法の木村秋則さんの「無農薬りんご」の話です。
木村さんのりんごはおいしくて腐らない不思議なりんごです。
農薬、肥料を使わず、雑草を生い茂らしていると、自然に土地に生命力が宿り、りんごの木も生き生きとしてきます。
この農法は10年に近い歳月をかけてやっと土地と木に生命力が吹き込まれて成功しました。気の遠くなる話です。
「育てない、手助けするだけ」という哲学は木村さんもまたこの土地と木と一体化して、自然の生命力の中に生きています。生命力あふれる自然体系の中に雑草生い茂る土があり、虫などの小動物がいて木村さんが暮らしていて、りんごの木と共生しています。
木村さんは愛媛県在住で自然農法家の福岡正信さんの本を読んでこの農法を考えだしました。
福岡さんは種を蒔く以外何もしません。
水は地中から湧いてくると考えているため、水もやりません。動物連鎖、植物連鎖が土地に活力を与えていると考えています。まるでジャングル農園です。
土地を自然に近づけておけば、植物は伸び伸びと育つのです。そこからおいしい野菜、果実が取れるのです。
私は今の社会の歪みとこの自然農法を比較して考えました。
いじめなどが話題になり、まるで深刻な状況にあるかのような報道がなされています。
いじめをなくしてどうしようというのでしょうか。人間本来の行動は動物の本能に拠ります。少しのいじめは人間がたくましく育つための競争原理です。もし、いじめもなくなれば、無表情な人間ばかりになって、社会全体に活気がなくなるような気がします。
いじめは、どんなところにもあります。アメリカは他の国々をいつもいじめているように見えます。国は私たちをいじめています。会社などの組織の中での競争はいじめにつながっていることがよくみられます。本によっては、いじめと読み取れるものも見られます。ひどいものになると読者がいじめられていることもあります。ネット社会のいじめは極めて陰湿です。いじめを報じるマスコミのいじめは目に余るものがあります。
私も小さいときから時々いじめられて来たし、いまでも関係している色々な機関(税務署、社会保険庁、銀行など)からいじめられていると思うことがあります。逆に私も誰かをいじめているのかも知れません。
私はいじめそのものが問題ではないと思います。いじめに類似したことはこの世から消えることはありません。問題は、いじめられて自殺するような精神的に弱い人を作っている社会ではないでしょうか。また、いじめで死にたくなる人を精神的に助けてあげる社会構造が失われてきているのではないでしょうか。
人間も動物も植物も一生いじめられています。わたしは、人間は一生誰かにいじめられていくものだと思っています。表面的にいじめをなくしても、世の中それだけではうまくいきません。大切なのはいじめられている人々を救ってあげることです。どんな人間も元気に育つ、強い社会になってほしいと思います。
人間の社会も自然農法のように競争の中でお互いが共生するシステム作りが必要です。動物本来の闘争と寛容が人間を育てます。
いじめと共生していくことも大切だと思います。
漢方医学に目を転じてみると、自然農法に類するおもしろい点を発見できます。
化学肥料を使えば使うほど害虫が発生し、これを退治するために消毒を必要としています。そこから生まれる作物はすぐに腐りやすく、ひ弱です。
雑草を生やした自然のままの土地で育った作物は、腐りにくく、おいしく、元気です。害虫も病原菌も逃げていきます。
病気も同じようなことが言えます。西洋医薬は消毒薬と同じ原理です。一箇所病気があるとそこだけに効く薬を使います。ときには正常なところを悪くすることもあります。副作用です。
漢方薬のあるものは、からだ全体を元気にして自然と局所を治していくように働きます。
小建中湯(しょうけんちゅうとう)は胃腸を丈夫にして、虚弱児を中から変えていきます。いつもお腹が痛い、頭痛がすると言っていた不登校児が小建中湯を飲み始めてからは元気になり、学校を休まなくなりました。
中耳炎、副鼻腔炎などを繰り返していた子どもに、柴胡清肝湯(さいこせいかんとう)を飲ませると次第にかぜをひかなくなり、中耳炎、副鼻腔炎などが治ってしまうことはしばしばみかけます。
芯から丈夫なからだに変えていく魅力が漢方薬にはみられます。
「野に花、山に鳥」
山の紅葉が目を楽しませてくれます。
我が家の庭にも紅葉が来ています。
モミジの色の変化は見事です。
ドウダンツツジは朱色が鮮やかです。
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