週刊 談話室  
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2006年5月25日号

「今週の談話」

 映画「明日の記憶」を観ました。

 広告代理店に勤める主人公(渡辺謙)が、人生の絶頂期に「若年性アルツハイマー病」にかかり退化していく姿を、妻(樋口可南子)との愛情をからませて描いています。

 

 仕事盛りの人間に突然襲ってくる病魔は、誰にも経験のあることです。

 しかし、若年性アルツハイマー病は治らない病気だけに、病気を克服する生命力は表現できなくて、ただただ衰えていく姿を追っかけるだけの映画で、暗さが漂います。妻との愛情も、むなしさが残ります。

 

 わたしも、年々記憶力が退化して行っています。

 ゴルフでも少し叩き過ぎると頭の中が白くなり、自分がつい前に打ったボールの記憶も飛んでしまい、打った数を間違うことがあります。

 人の名前も覚えにくくなりました。日常用語がすぐに出てこなくなりました。

 ひょっとしたら自分もアルツハイマー病の予備軍ではないかと、思うこともしばしばです。

 

 長生きの社会になりました。高齢社会になればなるほど、このような病気にも向き合わねばなりません。高齢者は身につまされる映画です。

 映画館を出るとき、私よりはるかに高年齢の方々が見に来られていたのには驚きました。杖をついている人、咳き込んでいる人など様々で、帰っていく姿に痛々しさが漂っていました。

 高齢者には少しテーマが重過ぎるようでした。

 

 

「野に花、山に鳥」

 エゴの木に桜のようなピンク色の花が咲いています。

 花びらは桜そっくりですが、この花は恥ずかしげに下を向いて咲きます。

 白いエゴの木もあります。

 

エゴの木(ピンク)

エゴの木(白)

 

 

「今週の患者さん」

 1才の赤ちゃん

 風邪様症状で鼻水と咳が止まらないと言って、若い母親が連れてきました。

 右耳は中耳炎で膿がたまり腫れています。小さい手で右耳を盛んにさわっています。

 「中耳炎なので、切開して膿を出した方が楽になりますよ」と、若い母親に説明しました。ビックリしたような顔をして、「はい」と言う答えが返ってきません。

 切開すると聞いてびっくりしているのだなと思い、「では、少し薬で様子をみますか」と言いました。

 診察が終わり待合室で待っているときに、父親が遅れて入ってきました。母親に事情を聞いています。その後父親は私に「切開をお願いします」と言ってきました。

 母親はまだ心配そうな顔なので、私は詳しく鼓膜切開について説明しました。

 

 「耳に膿がたまると、聞こえにくい、耳鳴りがする、耳がつまったかんじがする、などでとても不愉快になります。赤ちゃんが耳をさわったり、機嫌が悪くて夜も寝ないなどのしぐさを見せるときは、耳を早く治して欲しいとサインをだしている時なのです。早く治りたいという権利は赤ちゃんにもあります。赤ちゃんは黙って訴えています。それを発見してあげるのがお母さんの務めだし、治すのは私の務めです」



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