2006年7月31日号
「今週の談話」
昨年に続いて高知に講演に行きました。
高知までは、パーキングなどで瀬戸内海の風景を楽しみながらのんびり行っても、松山インターから高知インターまで90分で着きます。
ずいぶん近くなりました。
高速道路はほとんど四車線化されていて快適でした。

「明日から使える漢方薬」と題して、40名程の医師の方々に私の漢方治療の体験談を話しました。
2時間ほどの講演のあとで質問を受けました。
このときある耳鼻科の開業医から質問を受けましたが、これがおもしろい質問でした。
漢方の講演をしたので漢方治療の質問かと思っていたら、
「先生は蓄膿症と言ったり、副鼻腔炎と言ったりしていましたが、蓄膿症という言葉は教科書にはないので、おかしいのではないですか?」
と言って、ご自分の蓄膿症と副鼻腔炎についての見解を解説されました。
この先生はどの教科書で勉強されたのか知りませんが、私が勉強した教科書「新耳鼻咽喉科学(切替一郎)」には蓄膿症はあったような気がしていました。帰ってから本を開けてみるとありました。
| 「慢性副鼻腔炎… |
副鼻腔の粘膜および周囲の骨壁の炎症をそれぞれ上顎洞炎、前頭洞炎、蝶形骨洞炎、篩骨蜂巣炎と呼ぶ。
古くからある蓄膿症という名称が使われることもある」 |
「先生は中耳炎で鼓膜切開をしますか?漢方薬で効果あると言われていたから必要ないですよね?私は年に10例するかしないかで、ほとんどしていません」
と、更なる質問です。
「苦痛を取り除くのが私たちの仕事ですから、苦痛を直ぐに取り除いてあげることを目的として、私は鼓膜切開をしています。いつか治るではなく、直ぐ治すことを目指しています」
中耳炎は鼓膜の奥の中耳腔に膿瘍や滲出液などが溜まる病気です。少しでもこれらが貯まると、耳の痛み、圧迫感、耳鳴り、反響音に悩まされ、その苦痛の激しさは中耳炎に罹ったものでしか分かりません。
大人の人なら仕事ができないから直ぐに治してくれと訴えてきます。
小さい子は苦痛の表現が上手にできません。耳をさわったり、機嫌が悪くなったり、熱がでたり、さかんに聞き返したりすることでしかその苦痛のサインを送ることができないのです。耳を診る耳鼻科医がこれを見つけてあげて直ぐに治してあげることが大切だと思っています。
特に子供は長い間耳が聞こえないと、内耳への刺激が少なくなり脳の成長にも影響を与えます。
中耳腔は膿瘍や滲出液を貯めておく空間ではありません。新鮮な空気で満たされていなくてはなりません。
滲出液を長い間貯めている子は、性格的に落ち着きがありません。中耳炎を更に悪化させて、真珠性中耳炎になって手術をせざるを得ない子もいます。
耳鼻科医は中耳炎を治して欲しいと無言で訴えている子供に謙虚に速やかに対処すべきだと考えています。
ただ軽い中耳炎であれば、機嫌が悪くなければ、当然しばらく様子をみます。
治療方針はそれぞれの医師の信念に基づいています。
わたしは、このような信念で治療していますが、この質問された先生にもそれなりの信念がお有りだと思います。その信念の根拠を聞いてみたいと思いました。
「野に花、山に鳥」
高知から帰ったあと、庭の芝刈りと紅葉に沸いた毛虫の消毒をしました。
ふと蹲(つくばい)の中を見ると何かいます。
蟹です。
鳥が水浴びできるようにと蹲を洗ってきれいにしておきました。
夏の光を浴びて、蟹が水の中で休んでいます。
涼しげです。

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