週刊 談話室  
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2011年11月17日号

「今週の談話」

70歳過ぎのご夫婦が診察室に入って来られました。
「この前は鼻血の治療をありがとうございました。お陰様で、鼻血は一発で止まりました」と、男性が笑顔で話されました。
「今日は、家内が鼻水が出て止まらないのでお伺いしました」

続けて、診察椅子に掛けている女性が口を開きました。
「一ヵ月まえから鼻水が出だして、かかりつけの内科の先生に相談すると、アレルギー性鼻炎が始まったのかも知れないからと言ってくすりをもらいましたが、全然治りません。どうしてでしょう」と、相談されました。

「トイレに行って息んでいると、鼻がむずむずしてきて鼻水、くしゃみが出てきます。のどもむずむずしてきて咳も出ます」と続けました。
そこで、私は訊きました。
「鼻水はトイレの中だけでおきるのでしょう?」
「はい、他ではおきません」
この質問の答えで原因が分かりました。
しかし、補足質問を少ししました。

「最近、トイレの消臭剤を変えませんでしたか?」
「そういえば、臭い臭いとこの人が言うので、消臭剤を追加しました。水に溶けるタイプのも含めて3個置いています」
「この鼻水は消臭剤の刺激臭による反応性の鼻水ですよ。病気ではありません。
急に寒くなったから、トイレの窓も閉めているでしょう」

「そうです。主人が窓を開けると寒いと言って、すぐに閉めます」
「消臭剤を外して、トイレの窓を開けてみてください。それで治らなかったらまた来てみてください」

ご夫婦はお互いにトイレでの言い分を主張し合いましたが、最後には私の説明に納得し、原因が分かって良かったと安心して帰られました。

アレルギー様反応は化学薬品が様々なところに人知れず入り込んでいますので、思わぬところで症状が出てきています。
最近では「茶のしずく石鹸」で小麦アレルギーが問題となっています。
住宅建材の「シックハウス症候群」や「化学物質過敏症」などが以前から問題となっています。

山茶花(さざんか)の花が咲き始めました。
山茶花はツバキの仲間なので花だけをみると、ツバキと区別がつきにくいのですが、落ちた花を見ると区別がつきます。
ツバキは花がそのまま落ちますが、山茶花は花弁がバラバラに散って落ちます。
ピンク色の山茶花は特にきれいです。

山茶花の咲き満ちてゐる慈愛かな



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