週刊 談話室  
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2011年12月25日号

「今週の談話」

俳人杉山久子さんの「行かねばなるまい」を、本屋で手にして買い求め、昨日読みました。
杉山久子さんは第2回芝不器男俳句新人賞を受賞したことのある俳人で、「鳥と歩く」は私の愛読書です。
とてもさわやかな俳句を詠まれています。
山口市にお住まいだったと思います。

彼女がひょんなことから四国遍路の旅に出ました。
「行かねばなるまい」はその旅行記です。
私は遍路の旅に出たことはありませんが、私の周りには遍路道があり、八十八か所のお寺もたくさんあります。
お遍路さんとはいつも見かけます。
歩き遍路の方もいれば、バスツアーの方もいます。
このお遍路さんは何を思って遍路旅に出ているのか興味があって、この本を読んでみました。

驚いたことに、彼女は一人で歩き遍路の旅をしていることです。
若い女性の一人旅は誰が近づいてくるかも分からないし、山奥も多く歩くことになるので危険がいっぱいです。
案の定、この本はほとんどが筋肉痛と様々な恐怖との戦いの体験記になっています。

歩く旅は足に負荷をかける旅です。筋肉も骨も疲労が蓄積していきます。
この苦痛を修行と考え、耐えて歩き続けます。
人々との出会いは、いい人との出会いと危険な人との出会いでもあります。
お遍路さんのご接待は遍路道沿いの人々の修行とも言える行為なので、心づくしをされます。
しかし、中には度の過ぎたご接待や、厚かましさに出会うことになり、かえって鬱陶しく感じることもあるでしょう。そのことも彼女の予想外の出来事だったようです。

彼女を一番悩ませたのは、無理に同行してくる「おっちゃん」「爺さん」の存在だったようです。
道案内と称して親切にしてくれる「爺さん」が実はストーカーであったりして、それなりの恐怖を味あうことになります。
このことが遍路旅恐怖の旅にしているのです。
山道の野犬や蛇などとの出会いも、恐怖体験の一つとなっています。

俳句も詠んでいますが、清々しい俳句は余りありません。
苦痛の連続で、俳句を詠む心境にはならなかったのでしょうか。
歩き遍路の旅は過酷であると想像がついていましたが、予想通りの忍耐修行だったようです。よく頑張りました

若い女性の一人遍路はお遍路姿でも危険ですが、それ以外のケースでは健脚であれば安心して行けるでしょう。
しかし私には向かない旅です。
私が行くとしたら、バス遍路か自家用車の遍路にしたいと思います。

うたた寝のまなうらにちるさくらかな

杉山久子



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