2012年9月27日号
「今週の談話」
NHKの「ためしてガッテン」で「耳管開放症」の特集がありました。
この耳管開放症は病態の解明と治療法が耳鼻咽喉科学会内でまだ確立されていません。この病気に対する耳鼻科医の認知度も低いのが現状です。
従って、正しく耳管開放症と診断されず別の病名で診断されたり、治療法が十分に確立されていないため、診断が正しくても治らない場合が多いのです。
病因も中耳炎の後遺症であったり、耳やのどの乾きであったり、体重減少であったりと多彩で、原因不明で突然発症することもよくあります。
「ためしてガッテン」では、十分には解明されていない病気を取り上げたため、あちこちに無理な説明がみられ、かなり無理して作った様子が伺えました。とうぜんながら原因も治療もあいまいな報告しかしませんでした。
ただこのような病気があって、苦しんでいる人がたくさんいらっしゃるということをレポートできただけでも大変良かったと思います。
耳管開放症の人は、無意識的に鼻をすすって耳管を狭くさせようとします。
驚いたことにこの番組では突然真珠腫性中耳炎が登場して、はなすすりを続けると真珠腫性中耳炎となって、ひどい時には死につながると説明をしました。
真珠腫性中耳炎は、耳管狭窄症の人が滲出性中耳炎となり、治療を放置するとそれから癒着性中耳炎などを経て真珠腫性中耳炎となるのが一般的です。
中耳炎が原因で耳管開放症にもよくなりますので、真珠腫性中耳炎になった後に耳管の機能がおかしくなって狭窄症から開放症に変わることもありますので、真珠腫性中耳炎に耳管開放症が伴うことは結果的にみられることもあります。
耳管狭窄による中耳腔の持続的陰圧が滲出性中耳炎、真珠腫性中耳炎の原因ですから、耳管開放症のように中耳腔が等圧に保たれていれば、鼻すすり(一時的に中耳腔が陰圧になりますがすぐに元に戻ります)して少量の鼻水で耳管内を潤わしても滲出性中耳炎、真珠腫性中耳炎とはなりません。ちなみに、耳管開放症の治療として生理食塩水の耳管への注入をすすめていましたが、これは結果的に鼻すすりと同じことをしているのです。
実は滲出性中耳炎、真珠腫性中耳炎となる鼻すすりは別の病気なのです。それは慢性副鼻腔炎(蓄膿症)です。副鼻腔炎の方は膿性の鼻水をかまずにすすり上げることをよくします。それにより耳管を経て中耳腔に病原菌が送られ中耳炎となるのです。
この番組で鼓膜がペコペコ動く画像が写っていました。これは耳管開放症の方にみられますが、鼓膜が動いている人は少数で、むしろ稀なのです。
3週間前に鼓膜がポコポコ音がすると言って40代の女性が来られました。
呼吸するたびに激しく鼓膜が動いてポコポコと音を立てていました。
耳管機能検査をすると耳管開放症でした。
耳管内に少量のシロップを注入するとすぐにポコポコ音と自閉感は改善されました。十全大補湯(じゅうぜんだいほとう)を飲んでもらっていますが、その後再発していません。耳も体も楽になったと喜ばれています。
この方は小さい頃に中耳炎を繰り返し、その後耳がおかしくなるたびに鼻をすすっていたそうです。この半年前から急にポコポコ音がでてきたそうです。
幼少時の中耳炎のあとに耳管開放症になり無意識的に鼻すすりで治していたのです。そして半年前から急激に耳管開放症が悪化していたのです。
30年以上も鼻すすりをしていましたが、真珠腫性中耳炎にはなっていませんでした。
わたしが経験してきた耳管開放症の人で耳管開放症から真珠腫性中耳炎になっている人は一人も見たことがありません。
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曼珠沙華の花が咲き始めました。
土の中から突然茎を伸ばし、針金の様な縮れた花を咲かせます。
田のあぜ道に多く見られます。この花は毒性があるため、猪などから田を守っているという説や先祖の霊を慰めるために咲いているという説まであります。
曼珠沙華行きずりの風つかみをり
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