2019年4月7日号
「今週の談話」
5月1日から使われる新元号が「令和」に決まりました。
万葉集を出典とした国書から引用した元号はこれが初めてです。
万葉集の梅花歌に
初春令月、気淑風和、梅披鏡前之粉、蘭薫珮後之香
(初春の令月にして、気淑風和ぎ、梅は鏡前の粉を披き、蘭は珮後の香を薫らす)
とあるそうです。大宰府の歌会(730年)で披露されたもので「令月(めでたいつき)」の柔らかな風や梅花の香りをたたえ、「心を開き和やかに楽しむ」という意味だと私の読んだ毎日新聞には書かれていました。
「令和」の元号は「きもちのいい感じだね」「やわらかい、やさしい感じがしていいね」と好意的にとらえている人が多いです。
漢文から取ってきたいままでの元号は確かに堅苦しい響きがありますが、万葉集から取ってきただけに、日本的なやわらかく、あいまいな美しさがあります。
遠い将来は歌謡曲やポップスの歌詞から取られることがあるかもしれません。たとえば俵万智さんや栗木京子さんの短歌、あるいはユーミンや小椋佳の歌詞などから選ばれる時代が来ると楽しいです。
「令和」の「令」は法令、律令の「令」でもあることから、深読みすることもできます。大和の国を法令に従わせる、と政治家は考えているかも知れません。
そういう意味が含まれるにしても、これはこれで十分納得のいく元号と思います。
*
小惑星りゅうぐうの表面に探査機はやぶさ2から金属弾をぶつける実験が世界ではじめて成功しました。この爆発により得られる岩石を採取して、小惑星がどのようにしてできたのかが分かるそうです。それが分かれば、地球の起源を知ることができるようです。この人工衛星を操る細かい技術は日本が世界一であることが証明されました。人工衛星を形成するたくさんの部品は、町工場の精密な技術力によって作られたものです。ものづくり日本の底力をみせつけました。
*
桜日和が続いている中で、各地の桜が美しく咲いています。
私は菊間町の掌禅寺の金龍桜を見にいくのを楽しみにしています。
ここの桜はエドヒガンザクラなので、ソメイヨシノより少し早く咲くのが特徴です。樹齢300年の見事な桜で、太い枝に支柱が数本立てられていました。三脚付のカメラで熱心に写真を撮る人を何人も見かけました。

大木に杖を足したる桜かな
