2024年8月13日号
「今週の談話」
夏になると色々な病気の人が来られます。
「朝4時から、耳に虫が入っています」と言って一番終わりに女性が来られました。
左耳をみると、何かの大きい虫が手足を動かしています。耳は顕微鏡で見ますので、小さい虫でも大きく見えます。大きい虫は巨大な虫に見えます。
「わ、でかい虫が入っていますよ。急に飛び出しそうで、モスラのように襲ってきそうで怖いな」と言いながら、手足、羽根と分解し、最後は体全体を鉗子で挟んで取り出しました。中くらいの大きさのゴキブリです。耳の中に点耳薬を入れて綿花できれいに耳の中を拭き取りました。
ある夕方に「耳から血が出て聞こえにくくなりました」という女性が来られました。
耳を診ると鼓膜に穴が開いてその周りから出血がみられました。
「耳を突いたのですか、鼓膜に穴が開いています」と訊きますと、「耳垢を取っていたとき、壁に手が当たって痛くなり、血も出てきました」と痛そうに笑っています。
出血を止め、鼓膜にできた穴を補修材で覆って治療を終えました。「聞こえますか」「響きが無くなり聞こえやすくなりました」。最初は不安そうでしたが、すっかり安心した様子です。
「簡単に治ったと思ったでしょう。本当は名人技を使って治しました」と偉そうに言いました。実際、私の治療(鼓膜再生術)は手術をせずにあっという間に治してしまいます。完全に鼓膜が再生するのはしばらくたってからですが、聞こえはその場で治ります。
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パリオリンピックがもう終わっていました。さんざんと評判の悪いオリンピックでした。選手村はエアコンが無いため暑くて眠れないと体調に不安を訴える人がたくさんいました。また、食事は最悪で、圧倒的に肉料理が不足していて、野菜ばかりの時もあったそうです。
おもてなしに慣れた日本人にはとても考えられないことです。
様々な競技で、審判の誤審が話題となりました。私が見ていたものでは、サッカーのスペイン戦での誤審が最悪でした。
D組を3連勝で首位通過した日本が準々決勝でC組2位のスペイン代表と対戦。前半40分。FW細谷選手が相手DF3人に囲まれながらも相手を背負いながら前を向き右足シュートでネットを揺らした。同点に追い付いたあとしばらくしてから急に主審がVAR判定を言い出し、得点が取り消された。細谷選手のつま先がわずかに出ていたとしてオフサイドとなったらしい。主審はVARを確認することなく、判定を下していた。明らかに誰かが「あれはオフサイドにしろ」と指示を出したに違いありません。
柔道でもおかしな判定がありました。
開会式翌日に開かれた柔道男子60キロ級準々決勝では、日本の永山竜樹選手とスペインのフランシスコ・ガリゴスが対戦しました。 試合が進む中、寝技を得意とするガリゴスは永山選手に覆いかぶさる形で締め技に持っていきました。審判はすかさず「待て」と言ったにもかかわらず、ガリゴスは数秒間締め技を続けました。締められ続けて永山選手は一瞬気を失いました。それを見て審判はガリゴスの「勝ち」を宣告しました。永山選手の一本負けです。試合後、全日本男子の鈴木監督は審判団へと抗議しました。「私たちは『落ちた』(失神した)か否かを聞きたいのではない。審判の『待て』がかかった後に数秒間締め続けることが柔道の精神に反してはいないか」と。 ところが、抗議は実らずに判定はそのままとなりました。
その他にも怪しい判定はたくさんあり、批判が殺到しています。
そのいじめにもめげず日本はアメリカ、中国に次いで金メダル20個を獲得しました。その中で一番印象的だった金メダルは女子やり投げの北口榛花選手でした。
孤軍奮闘の様子が浪花節的でさわやかでした。
投げやりにやり投げてオリンピック金
(懸命に投げました。決して投げやりではありません)