2024年9月26日号
「今週の談話」
めまいの患者さんはどこで診てもらえればいいのかと迷っている方がいらっしゃいます。
めまいの原因の大半が耳(内耳)からきていることから、耳鼻咽喉科医のめまいを勉強している診療所(医院)に行けばいいでしょう。
めまいの一部には脳の血管障害などが原因となることがあり、その疑いのある方は脳内科などに行かれるといいです。
またある方は精神科疾患(うつ病など)と関係がある場合もあります。その時は抗うつ病薬を飲む必要があります。
めまいに効果的な薬は漢方薬に多いため東洋医学を勉強している医院に行かれることも勧められます。
私はこれらのことを踏まえためまいの治療を行なっている関係で、めまいの治療と対策の講演を時々頼まれます。今回松山市で行っためまいの講演の一部をまとめました。
めまいの治療について
症例 1)
30年ほど前にめまいが生じ、その後数年に一度めまいを繰り返している高齢者。
最近生じためまいは治療を受けても治らず、2年間もめまいで悩んでいました。
私の医院に来られたときは何とか治して欲しいと懇願されました。
飲み薬を見せてもらうと、抗めまい剤、抗精神病薬、利尿薬など8種類ほどの薬を飲んでいました。症状を伺うと、メニエル病とすぐに分かりました。ただちにすべての薬をやめてもらい、漢方薬(苓桂朮甘湯 りょうけいじゅつかんとう)のみを飲んでもらいました。するとすぐにめまいが治りました。実は効かない薬をたくさん飲みその薬の副作用が重なりめまいをひどくさせていたのです。
症例 2)
高齢の男性。数年前からふらふらするめまい感が続いている、抗めまい剤など数種類の薬を飲んでいる。薬をいろいろと出してもめまい感は治らない。飲んでいる薬を検討してみると脳血管を広げるめまいの薬が怪しいと思い、これをしばらく休んでもらうとめまいは劇的に治りました。
症例 3)
ふらふらしためまい感があり、熱中症様症状があったため、熱中症の薬の清暑益湯(せいしょえききとう)を飲んでもらって様子をみていましたが十分に軽快しません。以前よりうつ病気質がみられたため、PPPDの可能性もあると思い抗うつ病薬を飲んでもらいました。ふらふら感は少しずつ良くなりましたが、完治はしませんでした。異常な暑い夏が終わりかける頃になると、症状は改善していきました。時にはこのような治療も必要となります。初めの2例は薬の副作用が原因でめまいが治りにくくなっていました。こういうことも多いので、薬の見直しでめまいが治ることがあります。
めまいで一番多いのはメニエル病と良性発作性頭位めまいです。これらは的確に診断できればメニエル病は苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)で治り、良性発作性頭位めまいは浮遊している内耳の耳石を元に戻す姿勢を取れば徐々に治っていきます。
めまいを起こす人で頭痛を伴うものは上咽頭炎が原因となるものもあります。このときは上咽頭処置が効きます。また肩こり、首こりが原因のことがあり、この時は経絡治療(ツボ治療)が役立ちます。
この他にも立ちくらみの類似疾患などが色々あります。様々な原因を考えながら、根気強く治療する必要があります。
きみがふり向く街はもう秋である