![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
|
![]() |
||
![]() |
![]() |
![]() |
「動いて、動いて、動きまわって疲れてしまいました」 半年前に、青白い顔をして消え入るように診察用椅子に納っていたTさんは、今ではすっかり明るい顔をして、大きい声で話しかけてくれます。 1年程前より、突然天井が回り、立てばクラクラするめまい感が始まりました。以前より聴力は悪かったのですが、めまいが生じる頃にはさらに悪くなるような気がするそうです。ある病院で入院治療をしました。注射をしてもらうとすぐにめまいは治まり、楽になりました。メニエル病と診断され、薬をずっと飲んでいます。しかし、1カ月に1度は同じようなめまいが生じています。 転居を機会に、めまいが起きたら注射をしてほしいと、私の医院を受診されました。今まで飲んでいた薬を見せていただくと、なるほど、めまいに対して効果のあるとされている薬を五種類もらっています。メニエル病に効くといわれている水薬(実は、尿を出しやすくする薬で、大変飲みづらい)も含まれていました。教科書的には治療薬としては十分です。多過ぎるくらいです。しかし、何か変だ。もし、薬が効くのならめまいは起きないはずなのに、1カ月に1度はめまいは確実に生じています。 「薬は効いていないゾ」と、頭の中で呟き、話をよく聞いてみることにしました。 「私は、頑固な便秘があります。辛いので毎日浣腸しています」 これが原因かもしれない、と思った私は、 「今まで飲んでいる薬をちょっと休んで、これだけを飲んでみて下さい」と、便秘の薬である大黄甘草湯を処方しました。 7日後、Tさんは、すっかり明るい顔になって、来院しました。今まで、めまいが起きたらいけないとゴロゴロ寝ていたのに、長い間の宿便が取れ、おなかがすっきりし、頭のモヤモヤが取れて自然に身体が動いてしまうとのことです。その後めまいは1度も起きていません。 めまいは、このように、教科書に書いているような内耳性、血管性のもののほか、全身的なことが原因になることも見受けられます。 便秘が続くと、人体に有害なアミンが、タンパク質から大量に発生するようになりジンマ疹、ニキビ、のぼせ、肩こり、頭痛、めまいなどが生じてきます。便秘は決して馬鹿にできません。 便秘に有効なものは、大黄、芒硝、センナ、アロエなどがありますが、単味では効き過ぎることが多く、かえって腹痛を生じることもあります。数種類の生薬から成る漢方薬はこの点安心です。便秘の強い人では、調胃承気湯や大黄甘草湯を、老人性の便秘には、麻子仁丸や潤腸湯が勧められます。 イライラ感、不眠、のぼせ、肩こり、頭痛、めまい、全身倦怠感、食欲不振、吐き気などがある人、便秘はありませんか。もし、あれば、おなかをすっきりさせましょう。 快食快便こそ健康の第一歩です。 (1994年8月)
|
Q.漢方薬にはどのような効果があるのでしょうか? |
A.漢方薬にはさまざまな効果 があります。西洋薬とは異なる作用があるため、西洋薬で効かない時に使ってみると思わぬ
効果が出ることがあります。西洋薬と漢方薬の良い点を生かせば、よりよい治療ができます。 耳鼻咽喉科の分野では特に漢方薬が力を発揮します。かぜ、咳、副鼻腔炎、難治性中耳炎、惨出性中耳炎、めまい、のどの違和感、体質改善、冷え性などが漢方薬でよく改善します。 |
![]() ■BACK | ■NEXT |