2021年1月24日号
「今週の談話」
「高野山 千年の襖絵(ふすまえ) 空海の世界に挑む」という番組がNHKでありました。県立美術館でこの作品を以前見ていたため、金剛峯寺に奉納されたときその絵はどのように変化するのか、興味があって見ました。断崖図は素晴らしい出来栄えと思ったのですが、瀧図は部屋のすべてに瀧があるというのはいかがなものか、瀧の製作は技巧に走り過ぎでは、と疑問に思っていたのですが、実際に襖絵として飾られ、その空間に入ってみると(映像ですが)、非常に静かで温かみがあり、瀧で地球が、宇宙が表現されていると感心しました。以下は、TV番組の紹介です。
世界的に活躍する日本画家・千住博氏の襖絵《瀧図》と《断崖図》が高野山金剛峯寺に奉納された。いままで襖に絵がなかった囲炉裏の間には、全長25メートルを越す《瀧図》、茶の間には全長16メートルを越す《断崖図》を描いた。
空海は修行中の室戸で真言を聞きながら、神羅万象には命が宿っている、そこには救いがあるという境地に達した。空海は神羅万象の声を聴くことができたのである。空海と対話し空海に導かれるように描いた《瀧図》と《断崖図》。
《断崖図》は茶の間に置かれ、若き空海の前に立ちはだかった大自然の荒々しい崖を描いた。空海はここからこの世の神羅万象を学んだ。千住氏は丈夫で薄い和紙を揉みこれに荒々しい崖を描いた。千住氏は思い通りの岩肌を求め和紙にこだわり続け、和紙職人が千住氏の求める和紙を新たに作り出した。和紙の無数の皺が立ちはだかっていた崖を表現した。空海の声なき声に耳を澄ましながら崖と格闘した。
《瀧図》は囲炉裏の間に描かれた。瀧はすべての命を潤す水である。瀧は水の流れであり地球そのものである。千住氏は地球の重力に任せて絵の具を流して描いた。一枚の襖の瀧と瀧の間には黒い暗闇がある。空海と対話し空海に導かれるように襖絵を描き、この絵の奥には空海がいると思っていた千住氏はこれを特に丁寧に仕上げた。襖絵を納めた後に分かったことだが、驚いたことに、この空間の先には非公開の空海の像が鎮座していた。
千住氏は瀧は冷たいものと思っていたのに、設置された襖絵の瀧を見て、この瀧は暖かく慈しみに満ちていると感想を述べていた。

空へゆく階段あまた瀧しぶく
