寒くなり、急性中耳炎が増えてきました。急性中耳炎になると痛みや耳閉感を伴い、発熱も生じるため鼓膜切開することが多くなります。痛みも治まり、熱もなければ、しばらく抗生剤で様子を見ることもありますが、治り易さから言えば、鼓膜切開をして膿を出していた方が早く良くなるようです。しかし、お母さんの中には、絶対に切らないで欲しいと言う人もいるので、母親の顔色をうかがいながら切開することも多くなります。いざ切開するとなると、子供の表情がさまざまでその性格や親の躾が垣間見られることもあります。
 「ギャー、ギャー」と泣きわめく絶叫型が一番多いのですが、その他にもいろいろあります。
 「許して下さい、許して下さい、もう悪いことはしませんから」という懇願型。
 「痛いことするなよ!」と強迫型。
 「痛い、痛い」と大さわぎした後「ありがとうございました」というお礼型。
 「痛くないよ、ヘッ」と言いながら、目に涙をうかべている我慢型。
 「おバアちゃん」「お姉ちゃん」「ケンタくん」と助けを求めるお助け型、でもなぜかこの子は付いて来たお母さんの名は呼ばなかったのです。
 中耳炎が治った後も、1カ月くらいして再三再四中耳炎を繰り返す場合もあります。こうなると診る方も診られる方も忍耐を強いられます。最近では適切な抗生物質と適切な漢方薬の併用で、さすがにこういう例は減ってきましたが、こういう例に出くわすたびに中耳炎といえども難しいなと内心反省することがあります。

(1993年12月)

Q.かぜや高熱にかかった時、急性中耳炎にならなくする工夫はありませんか?
A.急性中耳炎はほとんど耳管を経由して鼻からの細菌感染によるものなので、鼻水が出だしたら早目に耳鼻科で治してもらうことが、中耳炎の予防となると思います。小さい子供は鼻を上手にかめないので、薬だけ飲むよりは、耳鼻科で鼻をきれいにしてもらうことも大切なことだと思います。


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