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「今年はホントに楽ですナ、ここ20年来ではじめてですヨ」20年間、スギ花粉症で悩んでいるOさんは、うれしそうに話していました。 今年は確かに、冷夏の影響でスギの花粉の量は少ないようです。私の医院の屋上でも花粉の調査を行っていますが、昨年よりはかなり減っています。それでも、花粉は確実に飛んでいますので、感受性の高い人は例年のように、症状が出ています。 「先生を教えたことがあるという人が来ていますよ」 カルテを見ると確かに中学時代の私の恩師の名前がありました。30年ぶりの再会です。当時はバリバリのナイスミドルもすっかり立派な好々爺ぶりです。 「こちらに来る機会があったので寄ってみました。昔と余り変わっていないね。毎年この時季になると鼻水が出て困るんだけど、治りますか?」 「遠い所を、来ていただいたので、治してさし上げましょう」 と、大見得を切って一連の鼻アレルギーの治療をしました。最後に、 「これが、鼻アレルギー治療のフルコースのデザートです」と言って、皮下注射を行いました。花粉症を完治させることは不可能でしょう。しかし、治療すれば確実に症状は軽くなります。 今年はインフルエンザは全く流行らず、花粉症も少ないのですが、例年になく寒い冬が続いているせいか、かぜをこじらせて来院する方は増えているようです。中耳炎、副鼻腔炎、咽頭炎、喘息、発熱疾患、嘔吐、下痢症がよくみられました。しかし、私の医院でよくみられる面 白い病気に「しもやけ」があります。耳鼻科で「しもやけ」? ―何か変ですね。もともと、アトピー性皮膚炎の治療薬として考案した軟膏(試行錯誤を重ね、今は十代目)が、幸い好評を得ているのですが、これが「しもやけ」にも良く効くということで、これを求めて来る人もいるのです。 「先生、ありがとうございます。しかし、何もご恩返しできなくてごめんなさいネ」 「先生、ご先祖様に感謝しなさいよ。ご先祖様が立派な人だから今の先生があるのですよ」 大変信心深く、何とも憎めないFさんが、背中を丸めて、今日も喘息の治療にやって来ました。調子は上向いてきたのですが、まだゼーゼー言っています。 最近、喘息の治療もずいぶん変わってきています。適切な吸入剤と適切な漢方薬(紫朴湯など)で、症状が軽快していく人が多くなりました。これも我々が学生時代に学んだ教科書にはない治療法で、大変面 白いものです。 今年は何か変わった冬でした。 そして、何か不思議な春のはじまりです。 (1994年4月) |
| Q.「かぜ」は耳鼻科でもよいと言われることがありますが、本当でしょうか? |
A. ”かぜ“にかかると、鼻やのどが悪くなるのは当然ですが、小さい子では特に耳が悪くなりやすいので耳鼻科医でも診てもらうのがよいでしょう。 一般
に耳鼻科医の治療は、内科医や小児科医と同じ診察や同じ薬に加え内科医や小児科医のできない耳や鼻やのどの適切な処置を行っていますので、 ”かぜ“がよくなります。先日も、友人が、「かぜをひきました。すぐ治して下さい」と言うので、「1回で治して上げましょう」と偉そうに言って治療しました。次の日、彼は目を丸くして「先生、本当に、1回で治ってしまいましたよ、ハハ…」と驚いていました。耳鼻科的処置を加えると
”かぜ“を早く退治することができるのです。かぜをひいたら、ぜひお近くの耳鼻科を受診することをお勧めします。 |
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