「先生、野菜スープって知っていますか」
 「え、え? 何ですか、それ?」
 「最近本でもよく紹介されているのですが、私たちは、何人もこのスープを作った先生に診てもらっているのです」

 私が作った漢方の軟膏でアトピーの治療を行っているUさんが、初めて野菜スープを紹介してくれました。アトピーで悩んでいた人たちがこのスープで治療しているというのです。
 「野菜スープだけでは、アトピーは十分には治らないのですが、先生の軟膏を塗ると少しずつですが良くなっていきますよ」

 なるほど、Uさんのグループの人たちのアトピーが「皆、確実に良くなっている」と聞いてはいましたが、このスープの働きもあったのだと知りました。それ以来、野菜スープについて勉強してみました。
 野菜スープは、ダイコン、ダイコンの葉、ニンジン、ゴボウ、干しシイタケを3倍量 の水で1時間煮込むだけでできます。このスープについては、Dr.ロバート・ジョー・カァーンズ・タツイシという人の書いた小冊子があります。この本によると、癌、痴呆、脳障害、糖尿病、腎臓病、膝関節炎、アトピー性皮膚炎などに有効とされています。しかし、よく読むと、この小冊子には、意味不明の文章や、表現のおかしいところ、医学的、常識的に納得のゆかない点がいろいろとみられます。本当に医者の書いた文章なのか、という疑問を持ってしまうのです。
 最近、週刊朝日に野菜スープに関する記事が連載されています。これによると、野菜スープを作ったのは、Dr.ロバート・ジョー・カァーンズ・タツイシと言っていますが、実は日本人で立石和氏(65)でした。前歴は不明で、本当に医学教育を受けたのか、本当に医者なのかと興味があったのですが、週刊朝日の調べによると、立石氏は高校を中退した元タクシーの運転手で、看護士の経験もあるそうです。本人の発言もまったく支離滅裂な話が多く、正に「怪人」像が浮かんできます。
 これを知れば、野菜スープも嘘っぽく感じるのですが、このスープの効果 は実際いろいろと証明されています。近くに住む私の知人は癌に冒されて、3カ所に転移し、末期状態でしたが、野菜スープを飲んだところ癌が消えたそうです。私も使ってみましたが、確かに元気になってきました。信じられますか?
 野菜スープで聴力は良くなるのでしょうか、耳鳴りは改善するのでしょうか?使ってみますか?

(1994年5月)


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