2018年11月26日号
「今週の談話1」
松山市医師会の「趣味の美術展」が開かれます。
出展者は28名、出展数80点ですが、私も小石の作品と写真俳句を出します。
時間のある方はぜひご覧ください。
日時 12月5日(水)~9日(日)
会場 愛媛県美術館 南館1階 県民ギャラリー

「今週の談話2」
大阪の関西医科大学の学術祭の中で開催された漢方研究会「第6回京街道漢方研究会学術集会」で講演してきました。
「めまい」について話して欲しいと言われていたのですが、「めまい」だけでは30分ほどで終わってしまうので、「咳」についても話すことにしました。
この二つは、西洋薬ではほとんど治す薬がないのですが、漢方にはたくさんの処方があります。
演題は「難治性のめまい、咳を漢方で治そう」にしました。
講演時間は1時間です。
漢方治療に意欲的な学内の100名近くの先生方が聴いてくれました。

次はこのとき提出した抄録です。これをもとにして講演を行いました。
抄録 「難治性のめまい、咳を漢方で治そう」
日常診療において「めまい」「せき」は西洋薬だけでは治しがたい疾患である。
この疾患、症状は漢方薬を用いることにより、かなりよく治すことができる。
「めまい」はどのようなものでもセファドール、メリスロンなどをほとんどの医療機関が処方している。しかし、ほとんど治っていないのが現状である。また、「めまい」は高額の診断機器を用いて診断しても、正しく診断されることは少ない。これらの事実を受け止めて、さらによくなる治療法を考えてみた。
めまいの診断は詳しい問診でほとんどが分かる。めまいの生じ方を理解しておけば、平衡機能検査なくても済ますことができる。
典型的なメニエル病、良性発作性頭位めまい、起立性血圧調節障害(たちくらみ)の他、心因性めまい、高齢者の平衡感覚失調、更年期障害によるめまい、頚性めまいなどについて説明し、漢方薬が効きやすい疾患について述べる。
「せき」も西洋薬で治すことは困難である。リン酸コデイン類は呼吸抑制などが問題となりアメリカなどでは使用抑制となっていると言われている。
咳はさまざまな経過を経て様々な症状を生じ、漢方薬はそれぞれに対応したものが用意されている。
ウイルスが上咽頭を経て気管に侵入することにより咳は出始める。最初は水溶性の鼻水を伴う透明な分泌物を生じる咳である。ここで治らないと細菌感染が始まり粘膿性の分泌物を伴う咳となり、しばしば副鼻腔炎を併発することになる。
それらが治まる頃に鼻水、痰により粘膜から水分が失われ、呼吸器は乾燥してくる。乾燥性咳嗽である。これはしばしば、咳喘息と称されるが、われわれは乾燥性咳嗽として漢方薬で治している。
これらの過程から、咳の生じ方を主に3~4段階に分類し、それに相応した漢方薬を用いている。それらについて、詳しく述べる。
漢方薬は耳鼻咽喉科外来において極めて必要性の高い薬である。
このことを理解していただけることを願って私の治療経験を述べる。
