2024年10月24日号
「今週の談話」
飛び込みで高齢の男性が来られました。入ってくるなり幾度もしゃっくりをくり返しています。待合室はやや混みあっていたので、しゃっくり音がうるさいと迷惑がっている人がいるだろうと、気になったので早めに診察室に入ってもらいました。
「2日前からしゃっくりが出て止まりません。3件ほど病院に行ったけど、全然止まりません」
「ネットでしゃっくりの止め方を調べました。砂糖水を飲むと止まると書いていたので砂糖水を飲んでみましたが止まりません。お酢を飲んでもダメでした。何とか止めてください」と懇願しています。
思わず笑いそうになりました。砂糖水を使ってしゃっくりを直す方法を考案したのは実は私でした。私が体験談を学会で発表し、私のブログにも書きました。それがいつの間にか、ネット情報に拡散していたのです。それを知ってか知らずか、この方は私の医院に来られました。
「ちょっと待っててください」と言ってコップに冷たい水を入れ、多めの砂糖を加えて攪拌し、それを診察室に持ってきました。立ったまま姿勢を正して「一気に最後まで飲んでください。ハイ、ごくごく、ごくごく」と飲ませました。すると、「あれ、治った、しゃっくりが止まった」と安心して笑顔で帰っていきました。
砂糖は筋肉弛緩作用があります。砂糖水がお腹に入ることにより、胃のけいれんが治まると考えています。しゃっくりは横隔膜のけいれんと教科書には書いていますが、これは違うと思っています。砂糖水によりしゃっくりが止まるということは、胃壁の痙攣を砂糖水が弛緩させると考えた方が合理的です。私の経験から言えば、しゃっくりは胃壁の痙攣であり、濃い目の砂糖水を飲むことにより治すことができると説明できます。
私の治療経験では砂糖水を飲んでもらえば100%しゃっくりは止まります。もし止まらなかったら、砂糖の量が少ないからだと思います。なお砂糖を溶かす水は冷やしたものを使っています。呼吸を止めて一気に飲み込むことが秘訣です。
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庭の秋明菊の花が一気に増えました。
色々な角度から花を撮ると楽しい。
ざざわざわざわ風が連れてくる秋