2025年11月11日号
「今週の談話」
「咽喉に異物感があり、のどが渇く感じがします。咳が時々出ることもあります」と言って中年の女性が来られました。 近くの耳鼻科では後鼻漏と言われ、数か月治療を受けましたが治らなかったそうです。そこで公的病院の耳鼻科に行くと、CTなどの検査で軽い副鼻腔炎と診断され、数か月治療を受けましたが治らなかったと言って、私の医院に来られました。
私は話を聞きながら、状態が漠然として頭に浮かびました。「たぶん、これは粘液が咽喉にくっついて取れなくなっているような気がします」と言って、のどの内視鏡検査をすると、確かにのどに粘液が付着していましたので、これを吸引除去しました。「すっきりしたでしょう」と言うと、「楽になりました」と笑顔で答えてくれました。
しかし、これだけで治ってくれれば話は簡単です。また再発することも多いです。
原因は副鼻腔炎の後鼻漏の時もあります。咽喉頭炎による分泌物の付着のこともあります。当然、難治性のこともあります。
そういう時は薬を飲んでもらい、のどを直接治療して少しずつ治すことしかできません。
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今年のアメリカ大リーグのワールドシリーズは、今までにない手に汗握る好ゲームの連続で、たいへん面白かったです。 特に山本由伸選手が3勝を挙げて大活躍をしました。しかし、彼は昔から肘に問題があったためプロ一年目から、ウエイトトレーニングなどはせず、柔軟体操やブリッジなどのエクササイズを主に行い、何と槍(やり)投げも練習に導入していたそうです。そしてあれだけのタフな肉体を作り上げていたそうです。
大谷選手もそのような特殊なトレーニングを行っているのかも知れません。選手の体に合したトレーニングの実績が必要なのでしょう。
私たちは個々の能力、体力が異なります。自分に合った学習で個性を伸ばすことが大切であると感じました。
私は自分に合っていると思い俳句をしたり、ぺインティングアート(小石の作品)をしていますが、その俳句でもアートでも自分の個性的な作品を作りたいと思っています。
振り返ってみると、見る人が感心するほどのいい作品はできていません。
個性的という評価は、独りよがりと思われがちです。個性的なすばらしい作品と言われ、感心してもらえるものは中々できません。誰にも何事も限界がありますので、そういうものは数点だけあればそれで満足したいと思います。
私たちにはコーチがいるわけでもないので、学びの中で自分の世界を発見しなくてはなりません。
しかし、医師(耳鼻咽喉科医)としての仕事上では、どこにもないという治療法をいくつか身に付けることができました。私の仕事は治すか治さないかでその価値がはっきりと決まります。その点は評価が分かれる趣味より良かったと思っています。

どこからかゴッホがひとり暮の秋
