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「ユラッ、ユラッ、ミシッ、ミシッ」地震で目が覚め、思わず布団を被り、そのまま、また寝込んでしまいました。朝起きてテレビをつけると、神戸の街は大きく破壊され、大火災が発生していました。1月17日、阪神大震災です。 この日から、毎日毎日、テレビも新聞も、この大震災の報道が続いています。4000人もの死者に30万人の避難者。自然のわずかな営み(地殻の変動)の前には、我々が築き上げたさまざまな文明も一瞬にして破壊され、まさに砂上の楼閣に過ぎなかったのです。 自然=神と考えてきた先祖の人々の気持ちが誰にも理解できたでしょう。自然の威力の前には人間の力なんかまったく無力に等しいと思い知ったのです。 この大震災によっていろいろなことが見えてきました。一瞬の災害の前には備えのない政府の対応のなさ、無力さが露見されました。すぐに動くと思われた自衛隊も動かず、自衛隊とは「自らを衛る隊」と信じていたのに、やっぱり軍隊でしかなかったのかと落胆させられました。 高速道路をはじめ、交通路が分断されるとたちまち物流が途絶えます。我々のところには、薬品類が入りにくくなりました。 折からのインフルエンザの流行で、避難者の間でもインフルエンザが広まり、次々と高齢者が肺炎で亡くなっています。やはり、かぜといえども初期治療が大切であることを再認識しました。この地震で医師11名が死亡し、病院・診療所の全半壊、焼失は159件もありました。避難所に医師が不足するはずです。 暗い話題ばかりではありません。被災者の方々は意外と表情が明るく、モラルも失っていません。入口が壊れたストアの前でも、開店の時間が来るまで整然と並んで待っていたそうです。日本人は大したものだと感心し、誇りに思いました。 このような災害が生じると電気も来ないので、目の不自由な方々、携帯ラジオも聞こえない高度難聴の人々は、大変なご苦労をされたようでした。 それにしても我々が1番無駄なことと気付いたのは、地震に対する「予知学」です。大変な研究費を注いでいるのにもかかわらず、今回の地震を少なくともこの1、2年以内に発生すると予知警告した学者はいませんでした。しかし、ある占い師はこの日を当てていました。今後は、この研究費の一部を占い師養成に当ててはいかがでしょうか。 関東大震災のあと東京がみごとによみがえったように、神戸もいずれ日本一の未来都市に再建されるでしょう。 (1995年3月) |
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