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| 「いやァー、治りにくくて困っています」 と、ある耳鼻科医が苦笑しています。 3月3日の朝、テレビを見ていると、「耳の日」特集として「治りにくい中耳炎」をテーマにした番組がありました。忙しい朝でしたのでビデオにとって後で見ました。 この番組の主旨は、中耳炎は鼓膜切開をしたあと抗生物質を使えば簡単に治るはずなのに、最近は、抗生物質に対する抵抗力のある細菌(耐性菌)が増えて治りにくくなっているということでした。 これはなかなか難しい問題です。私なりの疑問点があります。まず前提として細菌の感染に抗生物質が有効であるとしていること。本当に薬の能書き通り誰にでも効いているのでしょうか。次に病原巣から得られた細菌検査を行えば病原菌に対して有効な抗生物質がわかり、この抗生物質を投与すると感染が治るとしていること。しかし、現実的には人それぞれ、またその時々で効き方が異なり、試験管の中で得られた情報をそのまま信用できません。また、検査結果が出るまでに数日を要し、その間には、細菌を取り巻く環境も変化していますから、結果をそのままうのみにはできません。さらに、難治性中耳炎の原因は「耐性菌の出現」としていること。本当にこれだけなのでしょうか。中耳炎が両側に生じ、一方はすぐ治り、他方は治り難いことはよくあります。もし抗生物質が本当に細菌にきちんと効くのなら、左右同時に治るはずです。治りにくい中耳炎の子供さんでも、半年もすれば徐々に治ってくることが多いのも事実です。 これから一つのヒントが浮かんできます。感染を防ぐのは抗生物質の力より自然治癒力(免疫力)の方が強いのではないかということです。つまり、ヒトはそれぞれに免疫力が異なり、耳の左右でも免疫力に差があるのではないかと考えられます。難治性中耳炎は1歳から2歳の幼児に多くみられます。これは、この時期が免疫力が弱いからだと思います。それでは難治性中耳炎には免疫力を高める治療をすればよいことになります。 そこで私は、治りにくい中耳炎に対して免疫力を高める作用のある漢方薬(柴胡剤)を用いて治療を始めました。そうすると、どんどん症状が改善されてきました。耐性菌が原因といえばわかりやすい話ですが、実際は免疫力の弱さに原因があるように感じます。 中耳炎に代表される感染症には、抵抗力(免疫力)を必要としています。免疫力の強い人は少量の抗生物質でも治ります。免疫力の弱い人はいくら抗生物質を使っても治りません。 また、なぜか最近よく効くと宣伝されていて、私が実際使ってみると、ほとんど効果のない抗生物質もあります。しかし、これがなぜか非常によく使われているのです。あまり効くとも思えない抗生物質がよく使われているということも、難治性中耳炎が増えている原因の一つかもしれません。耐性菌の発生により難治性中耳炎が増加していると考えるのも一つですが、効果のうすい抗生物質が多く使われているため、病原菌が残り、難治化しているとも考えられます。 病気を治すのは自然治癒力(免疫力)が半分、薬の力が半分と、私は平たく考えています。治りにくい中耳炎にも、まず免疫力を高めることから始めます。そして、本当によく効く抗生物質を適切に使うよう心がけています。 Q.難治性中耳炎についてもう少し詳しく教えて下さい。 (1997年4月)
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