(2021年3月28日掲載)
めまい症の一つに立ったり歩いたりするとき、体がふわふわするめまい感を長期間感じる場合があります。今までは原因不明のめまいとされていたのですが、このようなめまいをPPPD(持続性知覚性姿勢誘発めまい)と診断するようになってきました。
頭位めまい症、メニエル病、前庭神経炎などで比較的大きいめまいを生じると、脳が刺激を受けて身体のバランスを保つように働きます。脳の刺激が過剰になるとふわふわ感のめまいが生じるようになります。脳の異常興奮が長期間続くことがふらふら感の原因と考えられていますが、残念ながら明解な治療法はないようです。前庭リハビリ体操が勧められていますが窮余の策の感が否められません。長期にめまい感が続き、仕事などに専念できないことがあり、不安神経症やうつ状態になりやすいので、それぞれに対応した精神病薬が使われることもあるようです。
このようなめまいも私は苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)、半夏白朮天麻湯(はんげびゃくじゅつてんまとう)、真武湯(しんぶとう)、五苓散(ごれいさん)、加味逍遥散(かみしょうようさん)、桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)などのうち適切なものを使い、めまいに効くツボの治療を併用しています。これにより、PPPDのようなあいまいなめまいにも対応することができています。漢方薬でいえば五苓散系統の水分を調節するくすりは過剰の水分を除き、真武湯系統のくすりはの水分不足を補い、新陳代謝の不足を改善します。めまいのツボは内耳、腎、大脳皮質下などを刺激、調整するポイントを選んでいます。
五年ほど前からこのめまいに悩まされている方(30歳、女性)が来られました。この治療を行い、治療後1週間目に来られたときにはかなりめまい感はとれ2週間目にはほとんど症状は軽快しました。数か月前から同じようなめまい感が続いている方(50歳、男性)も全く同様に、1~2週間でめまい感はほとんど無なりくました。
このような方のめまいは、PPPDの一つですが、全て同じような方法で対応できます。
PPPDのようなめまいに対しても西洋医学的治療はほぼお手上げですが、漢方薬とツボ(経絡)の東洋医学的治療で治すことができます。

