(2023年09月23日掲載)
めまい症の中で、はっきりと原因が分からず放置されているものに「ふらふら」のめまい感があります。めまいに使うめまいの薬は効果がなく、「自然治癒」「ようす見」で終わる治療になりがちです。病名が明らかになる「良性発作性頭位めまい」「メニエル病」「前庭神経炎」などは治療すれば治すことができますが、「ふらふら」のめまい感は内科、整形外科、脳外科、耳鼻咽喉科、東洋医学科などに行きましたが、どこにいっても治りませんと言われる方が多いです。中には高血圧症や起立性低血圧症などが原因となっている方もいますので、細かく診て行かないと正しい診断にはたどり着けないことがあります。
70歳の女性で、「ふらふら」のめまい感が数十年間続いている方が来られました。色々と病院めぐりをしてきましたが、どこに行っても治る気配がなかったそうです。
私の医院に来られた時は歩行しにくい様子でどこかにつかまりながら歩いていました。ベッドに寝てもらうと、寝にくい、起きにくい、首が回らないなどの症状があり、ほとんど寝たきりの生活をしていました。
血圧を測っても平均的で、立ってもらって測っても血圧が下がることもなく安定しています。しかし、身体のあそこが痛い、ここが悪いと言っています。
これはとりあえず、動きやすい身体にしてあげることが先決だろうと考え、私なりの判断で、膝と腰の痛みを取り、動きやすくする「つぼの治療」をしてあげました。
すると、ベットから立ち上がる時も痛がりません。歩いてもらうときどこかを持たなくても、手をぶらぶらさせて歩いています。もう一度、もう一度と言って「ベットに寝る、起きる、歩く」という動作をしてもらいました。するとすたすたと歩き、歩いている時の「ふらふら」は消えていました。
「これは膝と腰の治療をしただけです。治りそうですよ」と話しかけると、顔を手で覆い涙を拭っていました。「あんだけ苦しかったのに、治りました。どこに行ってもこれ以上は治せないと言われていたのに、うれしい」と涙声で言われました。
「ふらふら」のめまい感は、内耳の病気は考えにくく、身体的異常が原因のことが多いようです。このように身体的要因で「ふらふら」している人には身体的要因を取ってあげると「ふらふら」は治りやすくなります。
「ふらふら」のめまい感のある方はたくさん見かけます。
その後もこの東洋医学の経絡治療を利用して、この「ふらふら」を治しています。
発想を変えて、「少しの工夫、少しの治療」で治せないものも治せるようになることもあります。