2022年11月24日号
「今週の談話」
サッカーのワールドカップ・カタール大会がはじまりました。
日本(世界ランキング24位)は一次リーグをスペイン強豪国のドイツ(11位)、スペイン(7位)、そしてコスタリカ(31位)と戦います。日本にとっては「死の組」と言われ、予選敗退が当たり前の戦前評価を受けていました。
しかし、戦ってみると前半の0-1の不利を日本は跳ね返し、後半は怒涛のような攻撃を行い、さすがのドイツもたじたじとなり、堂安律、浅野拓磨の活躍で2-1と勝利しました。森保監督の後半の大胆な采配に選手が見事に答えたことが勝因でした。日本の大金星と称えられ、悲願のベスト8以上が見えてきました。今後の戦いが大いに楽しみです。
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シオノギの新型コロナの治療薬ゾコーバが緊急承認されました。前回は時期早々と反対意見が多くだされたため承認されませんでした。ゾコーバⓇは、3CLプロテアーゼを選択的に阻害することで、SARS-CoV-2の増殖を抑制することができる1日1回、5日間投与の経口抗ウイルス薬です。ゾコーバⓇは、オミクロン株流行期に、重症化リスク因子の有無やワクチン接種の有無にかかわらず幅広い軽症/中等症患者を対象に実施した臨床試験において、オミクロン株に特徴的なCOVID-19の5症状に対する改善効果(主要評価項目)および抗ウイルス効果(主要な副次評価項目)の両方が確認された経口抗ウイルス薬で、ウイルス量を速やかかつ有意に低下させることが確認されています。
治験で確認された臨床効果はオミクロン株に特徴的な鼻水、咽喉の痛み、発熱などの5症状などが消える期間が約一日(8日→7日)短縮されたそうです。
承認に反対意見を出している人はこの臨床効果が明白でないと言っています。
これは抗ウイルス薬なのでウイルスが早期に有意に低下できればそれでいいはずです。鼻水、咽喉の痛み、発熱などの5症状はウイルス感染後に生じる炎症症状なので、この薬に期待する方がおかしい。そもそも風邪などの症状は、抗ウイルス薬で治すものではないでしょう。ウイルスを減少させることが一番大切です。抗ウイルス薬に消炎効果があるのでしょうか。この薬にこれを期待してはいけないでしょう。我々臨床医は抗ウイルス薬でウイルスを減らし、炎症症状は様々な治療法で対応します。たとえば初期であれば葛根湯(かっこんとう)、さらに症状が重そうなら柴胡桂枝湯(さいこけいしとう)などを飲ませ、鼻と咽喉を直接治療すればインフルエンザでも新型コロナでも治すことできます。ウイルスを減らすことは他人に感染を広げないために必要なのです。
この薬の認可に反対を唱える医師、研究者はそのような治療を行っている臨床医ではないのではないかと、ふと思います。
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また、二人ほど新型コロナのワクチン接種直後に死亡したことが話題となっています。アナフィラキシー症状と考えられていますが、筋肉注射なので注射液の吸収は静脈注射ほど急速ではなく、接種直後にその症状が出ることは考え難いです。それならばなぜか。だれも疑問点として挙げていませんが、筋肉注射なのに間違って静脈に入ったのではないかと私は推測しています。
前も書きましたが、私の医院では筋肉注射でも皮下注射でも血液の逆流は必ず確認します。今までコロナの筋肉注射で3名の方が血液の逆流をしたことがありました。その方たちは注射をすぐに中止しました。そのため副反応は起こさず、後日やり直しをしました。肩に行う筋肉注射は血管に針が入ることはないと言われていますが、その根拠が間違っています。
今回の注射後の死亡が血管内に薬液が入ったかどうかは私には分かりませんが、万が一でも入ることがありますので、注射時に十分気を付けて欲しいと思います。
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雨あがる紅葉真っ赤にドレスほど
