くが耳鼻咽喉科(愛媛県松山市北条)

週刊 談話室

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2023年7月13日号

「今週の談話」

マダニと思われる虫に噛まれている子がいるので、マダニを取ってください。

払い除けようとしても取れません」という電話が入りました。

来てもらうと、子どもの耳の後ろにくっついていました。

子どもの耳の後ろにくっついているマダニ

マダニは血を吸って膨れているように見えないし、子供が痛がっている様子もありません。皮膚にくっついているという状態にみえます。

万が一皮膚に咬みついていては困るので、観察用顕微鏡の下で口器(顎体部)が皮膚に食い込んでいないか入念に観察しながら極細ピンセットで除去しました。除去後に皮膚面を観察しましたが、咬傷は診られず、口器の残存も確認できませんでした。消毒をして「何かあったら来てください」と言って帰ってもらいました。

日本ではマダニ40種類以上が知られていますが、マダニは森林の下草河川敷の草地などに生息しています。マダニが吸血する際は口器を刺入7日から2週間程度吸血を続け、飽血すると脱落します。マダニは西日本ではリケッチア症の紅斑熱や熱性血小板減少症を発症しやすいですが、マダニの病原体保有率は極めて低くく、マダニ刺症に伴う感染症の発症に対する過剰な心配は要らないそうです。

福岡にいる息子に男の赤ちゃんが生まれました。古い「家」の考え方では「久我家」を継いでくれる男子となります。私は三人兄弟ですが「久我家」を継承できる立場の者は今まで誰もいませんでした。それがやっと念願がかないました。

これはどうでもいい都市(田舎)伝説の一つですが、私の家の話しです。

Family historyを辿れば、私の家の4世代前は、ある有名藩のお殿様だったそうです。そういう家に子供が双子で出生すると双子は忌み嫌われたらしく、密かにどこか遠くに追い出されるのだそうです。その一人が私の3世代前の方であったらしいのです。この元々の有名「家」から田舎に追い出された(捨てられた)という暗い事情は、家族内の伝説として語り継がれその家系図まで残されています。

その中で私の父が本来なら家長であり、その後を守る立場でありましたが、「家」を継げる子は色々と事情があって私たちの中に出てきませんでした。このほどやっと「家」を継いでくれる男の子が私の家に生まれました。

現代ではこのような話はどうでもいいことで、自慢にもなりません。

このことは長い間思い出すこともありませんでしたが、生まれてきた赤ちゃんの顔を見ていると、物語に出て来る一シーンが過りました。

「この子は久我家のご当主様なのだ」と。古い考えで、家族以外にはどうでもいいことですが、急に「家」についての思いが浮かんできました。赤ちゃんの誕生が「家」について考えさせてくれました

紫陽花

人と人結ぶ縁側鉄線花

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