くが耳鼻咽喉科(愛媛県松山市北条)

週刊 談話室

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2023年7月27日号

「今週の談話」

長雨が終わり、梅雨が明けました。蒸し暑い天気が一気に始まりました。

行ったことはないですが、ジャマイカの熱い熱風が外に出ると吹きつけてきます。

大袈裟ですが呼吸するのもやっとの思いです。

これを考えるとゴルフをするのも辛そうで、7月から8月にかけてはゴルフ仲間とのゴルフ例会も中止せざるを得ません。その旨連絡すると、仲間から待ってましたとばかりに、二ヵ月の中止が決まりました。

熱中症は恐ろしく、その時に異常を感じなくても、その後数週間は体調不良となることがしばしば見られます。その症状は早々と梅雨のシーズン中に何人も見られていました。

耳の調子が悪いと若い男性が遠方から来られました。音楽をしているのに今の体調では音が響いてすっきりしない体調がすぐれず踊ることもできないと苦情を訴えていました。近くの耳鼻咽喉科に何件か掛かったけれど、どこでも耳管狭窄症と言われ治療を受けても良くならないと言われました。

耳が悪くなる前にコロナに罹り、その後副鼻腔炎にもなって治療を受けていたそうです。耳が悪くなったのはその後からだと言われました。

病気のヒントは病歴にあります。コロナ感染後副鼻腔炎の治療後というのが大きなヒントだと思いました。

初診時は耳管機能に異常はなく全く正常です。しかし、右耳に反響音があって不愉快だと言われています。コロナ感染症後遺症による脳内の異常信号が生じているのかと思い、この治療をまずしてみることにしました。低気圧が来ると軽度の鬱状態になるいわゆる「天気病」もありましたので、それに対する薬も出しました。

そして一週間ほどしてからもう一度来られました。「良くなっていません。むしろ、悪くなっているくらいです」と暗い顔をしています。

それではともう一度調べてみると、やっと病気がはっきりしました。耳管開放症です。重篤ではありませんので、診断がしにくかったのですが、その前回に私が出した薬耳管開放症を誘発悪化させたのでした。

耳管開放症の治療を行うと急に明るい顔になり、「治りました、治りました」とうれしそうです。

コロナ感染後に副鼻腔炎になり、その時に炎症を取る薬を色々と使ったため耳管内がスカスカに乾き、結果的に耳管開放症になったのでしょう。

以前に耳管狭窄症と診断されて、そのときに使われた薬耳管開放症には逆効果なものであったために、耳の不快感が治らなかったのでしょう。

ただこの方の耳管開放症は軽度のため、治療すれば徐々に改善していくと思われます。

ポップスの音楽大会でグランプリをとったこともあるそうで、才能に恵まれている方だと聞きましたが、早く治って中央で活躍してほしいと思いました。

木槿

立てかけるボートの腹が夕焼けて

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